時間が経つと〈線〉が消えていくかもしれない

ノウハウが〈点〉から〈線〉になれば安心かといえば、実はそうではありません。いったん身についたノウハウも、時間が経つにつれて効果がなくなっていくことがあるのです。一度つながった〈線〉が消え、〈点〉と〈点〉に戻ってしまうイメージです。


先の例では、上司から話を聞いてメモをとり、スケジュールに書き込んではいましたが、いつの間にか機械的に行うようになっていました。メモをとることの本来の意味は、上司の話をもとに作業に優先順位をつけ、仕事を円滑に進めることですが、いつしかそのことを忘れていましたよね。そのため、納期に間に合わなくなるなどのミスを犯してしまうのです。


つまり何が起こっていたのか、マーケティング脳でもう一度考えてみましょう。本来は理解するための手段であったはずのメモが、「自分は〈点〉と〈点〉をつなげて〈線〉にしたぞ」という慢心によって目的にすり替わっていたのです。これを防ぐには「実は自分はわかっていないかも」「そのうち〈線〉が消えてしまうかも」と意識しておくことが重要です。


たとえば「なぜメモをとる必要があるか知っていますか?」と聞かれたときに「知っていますよ」と答えるのではなく、「もしかすると自分の知らない意味があるのかも」と考え「教えてください」と、新しいことを学ぼうとする態度が大切なわけです。


何かノウハウを教えてもらったら、まず〈点〉と〈点〉を〈線〉にする(=ノウハウの意味を深く考える)ことを意識し、なおかつ時間が経っても〈線〉が消えないようにする(=自分の理解が本当に足りているか点検する)ことを心がけるようにしましょう。


人を教えたり導いたりする立場であれば、いま行っている作業の先に、いったい何がゴールとして待っているのかといったワークフローの理解や、何を目的としているのか、といったことをなおざりにせず情報共有すると良いでしょう。そうすれば、相手も目的と手段をたがえずに自分の仕事に集中できるので、生産性が上がるかもしれません。


【アドバイス】


ノウハウは常にアップデートすることが大切