お盆と言えば故郷に帰ってお墓参りをする――。そんな日本古来の風習が過去のものになるかもしれません。すでにお墓や納骨堂に納めた遺骨を他のお墓や納骨堂に移す「改葬」や墓石を撤去する「墓じまい」が増えています。厚生労働省の調査によると、「改葬」が2022年度、全国で15万1,076件にのぼり、過去最多に。墓じまいや改葬の背景には「お墓が遠方にある」ことや「継承者がいない」ことが挙げられ、樹木葬や海洋葬・山葬(散骨)などの選択肢も広がっています。平成から令和に変わり、お墓や弔いのカタチはどんなふうに変化しているのでしょうか? また、その背景にある社会や時代、人々の死生観の変化とは? 多様化する「令和の弔いのカタチ」について取材しました。
時代や弔いの形は変わっても「故人を思う気持ち」は変わらない
多様化するお墓事情、弔い方事情ですが、日本人は先祖代々や縁のある故人への思いも変化したのでしょうか?
「よく勘違いされがちなのですが……」と前置きした上で、太島さんは続けます。「皆さん供養をしたくないわけではないんです。墓じまいや仏壇じまいなど弔い方の変化・多様化で『ご先祖さまに失礼なのでは?』と思われる方もいらっしゃると思いますが、お客様に聞くと本当に弔いの仕方が変わっただけで、故人に手を合わせたいという気持ちは変わりません」
また、梅津さんも「形には残さないけれど、心や気持ちは変わらなくてむしろ宗教戻りをしている気がします」と指摘。「仏壇や位牌(いはい)を置いたりはしなくても故人を思う気持ちは変わらず、皆さん心と心のつながりは信じています。ある読者の方は『うちは浄土真宗なのだけれど、勉強をして旅行も兼ねて日本中のお寺巡りをしているんです』とうれしそうに話してくれました。また『自分のルーツをたどるような旅をしています』という方もいらっしゃって、そういう方が一人や二人ではありません」
家族で集まったときに話し合っておいたほうがいいことは?
最後に、お盆で帰省する人も多い中、家族で話し合っておいたほうがいいことについて太島さんと梅津さんに聞きました。
「特に今の70代くらいの人たちは自分たちが苦労してきた分、子どもたちにはお墓のことで苦労させたくないという人も多い。一方、子どもたちは『1年に1回位ならお墓参りもするのに』と親子間ですれ違っている場合もあるので、事前にコミュニケーションをとっておくことをおすすめします」(太島さん)
「まずは夫婦間で話し合うのをおすすめします。夫婦である程度話し合ったあとに子どもたちに伝える。たまにあるんです。女性のほうが『夫や義実家と一緒のお墓には入れないでほしい』とこっそり言ってくるパターンが。妻も夫も健在でしたら、まずは夫婦で話し合って子どもや遺された家族が迷わないようにするのがいいと思います」(梅津さん)
故人を思う気持ちは今も昔も変わらない――。親世代や自分たちが納得のいく最期を迎えるためにも、まずはお盆を身近な人や家族とコミュニケーションを取り合う機会にしてみてはいかがでしょうか?
*【第3回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2024年)
https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/10695/
**【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)
https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/10693/
※「終活に関する意識調査2023」
https://www.halmek-holdings.co.jp/news/press/2023/qesw47v_zks/
※この記事は、THE GOLD ONLINEとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。