近年、世界中で老化に関する研究が行われ、老化のスピードを遅くする、または逆戻りさせるという可能性がみえてきました。体を若返らせる、寿命を延ばすといったことが現実に近づいてきているようです。本稿では、京都府立医科大学大学院医学研究科の医学博士・内藤裕二氏が老化と腸の密接な関係について解説します。
老化は一定のペースで進行しない
中年期(40~64歳)に入ると体の衰えを感じる人は多いでしょう。しかし実は、老化は青年期からすでに始まっていることをご存じでしょうか。さらに、スタンフォード大学の研究チームがヒトの血漿たんぱく質を分析したところ、老化は一定のペースで進行するのではなく「34歳の青年期」、「60歳の壮年期」、「78歳の老年期」で急激に進行するということがわかったのです※1。
急激な老化を避けるための、日ごろのエイジングケアは20~30代から始めても、早すぎるということはありません。老化は美容面のダメージだけでなく、体力やメンタルの衰え、病気にもつながり、長い生涯の生活の質を落すことにつながります。
老化を遅らせ、できる限り長く若さを保つカギ
長く生きていれば、34歳、60歳、78歳という年齢は誰でも通ります。しかし、同じ年齢であっても実年齢よりも老けて見える人がいる一方で、若々しく見える人もいます。どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。
実は、老化のスピードには個人差があるのです。
ここで、ニュージーランド人を対象にした研究を紹介します。この研究によると、顔の見た目が老けている人は体の中の老化が進んでいることがわかりました※2。そして、体の中の老化を食い止めるには、腸の状態が健康で整っている必要があることも明かされています。つまり、腸が若いと体も若いということです。
老化のスピードを遅らせるには、腸がカギを握っています。ではどうすれば腸を若く保つ/若返らせることができるのでしょうか?