人生100年時代といわれて久しいですが、なかには長生きな人と短命な人がいます。さらには、長生きであっても実年齢よりも若々しい人と老けて見える人がいます。この差は一体なにから生じるのでしょうか? 本稿では、京都府立医科大学大学院医学研究科の医学博士・内藤裕二氏が加齢と腸の密接な関係について解説します。
腸年齢=見た目年齢?
若返りのキーになるのは腸内環境です。あなたの周りにも、同じ年齢でも元気で若々しい人、実年齢より老けて見える人がいませんか。近年、老化のスピードには個人差があり、実年齢(時間の経過)とは別に生物学的年齢(体の年齢)という考え方が注目されています。
ニュージーランド人を対象にした研究では、顔の見た目が老けている人は生物学的年齢が進んでいる、つまり「体の中の老化」が進んでいることがわかりました※1。体の中の老化を食い止めるには、腸が重要なのです。腸内フローラが整っている人は腸が若く、生物学的年齢も若いことがわかっています。
京丹後市の高齢者、長寿の秘訣
生物学的年齢=腸年齢といっても過言ではないほど、腸と老化には密接な関係があります。筆者は、2017年から、京都府京丹後市の高齢者を対象に、腸内細菌を調べる研究を行っています※2。京丹後市に在籍する100歳以上の長寿者は、全国平均の2.7倍。長寿地域として知られています。
100歳以上の長寿というと、寝たきりの人も多いのではないかと疑問に持たれる人もいるかもしれません。しかし、京丹後市の高齢者は驚くほど元気な方が多い。この理由はなにか、調査の結果、少しずつ解明されてきました。
腸の若返りのポイントは「大豆」と「発酵」
京丹後市の長寿者の腸内細菌を調べてみると、「酪酸菌」が多いことがわかりました。酪酸菌というのは、酪酸を産生する菌のことで、老化防止に重要な役割を果たしていることがわかっています。腸内細菌は食べ物の影響を強く受けます。特にたんぱく質と食物繊維の摂り方が影響します。京丹後市の高齢者は、日常的にたんぱく質や大豆を中心に魚、卵、鶏肉で摂っているのです。また、発酵食品も積極的に摂っています。