近年、世界中で老化に関する研究が行われ、老化のスピードを遅くする、または逆戻りさせるという可能性がみえてきました。体を若返らせる、寿命を延ばすといったことが現実に近づいてきているようです。本稿では、京都府立医科大学大学院医学研究科の医学博士・内藤裕二氏が老化と腸の密接な関係について解説します。

老化は34歳、60歳、78歳でズドンとくる…医学博士が教える「老ける食べ物」と「老けない食べ物」の決定的な違い
腸を若返らせる食べ物、老けさせる食べ物
腸を若返らせるためには腸内細菌の多様性を高くし、腐敗菌の働きを抑えることです。菌の種類が多いほど、いい菌が棲みやすい環境をつくります。そして、腸内環境の決めては食べ物であることがわかっています。腸を若くするには「まごわやさしいよ」をキーワードにして食材選びをするといいでしょう。
反対に、腸を老けさせやすい食品もあります。特に以下の食材の摂りすぎには注意しましょう。
発酵食品が腸年齢を若返らせる理由
大豆は腸の若返りが見込めるお勧め食品ですが、特に発酵した大豆は最強です。発酵によってつくられた物質の恩恵も同時に受けることができ、さらに大豆の食物繊維も腸活に有効に働きます。
腸内にいる微生物を腸内細菌といいますが、微生物はこの世界のありとあらゆるところに存在します。発酵食品は、この微生物の働きを活用しています。体によい働きをする物質を作り出すことを「発酵」、悪い物質をつくりだすことを「腐敗」といいます。発酵の段階で体にいい物質をたくさんつくっているので、発酵食品は健康に寄与するといわれているのです。また、発酵によってうまみが増し、食べやすくなることも発酵食品の利点です。
近年の研究で発酵食品に含まれる成分が、直接腸内環境に働きかける、腸内細菌のエサになる、腸内細菌の多様性をもたらして腸内フローラを変えるということがわかってきました。発酵食品は腸活にはかかせない食品となっている理由です。
腸を若返らせる最強食材
大豆の発酵食品というと、納豆が代表的な存在ですが、苦手な人も少なくありません。しかし、近ごろは大豆ヨーグルトが腸活のトレンドアイテムとして話題となっています。
大豆の発酵食品は、発酵によって腸活に有効な物質がつくられるだけでなく、大豆のたんぱく質や食物繊維が分解され吸収されやすくなっています。植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べて吸収率がやや劣りますが、発酵食品はそれを補ってくれます。