2020年の民間給与実態統計調査によると、年収300万円以下の人は1,978万人と全体の37.7%。「一億総中流社会」といわれた日本はもはや過去の話、現代の日本は急速に貧困化が進んでいます。ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、33歳非正規社員の“生の声”をみていきましょう。
最高の贅沢は「税込み1,000円以内」のサイゼリヤ…月収17万円、33歳非正規女性の悲鳴【ルポ】
貧しいと孤独になる…休日の友は「SNS」
「収入が少なく、自由に使えるお金がなくて一番つらいのは、人付き合いができなくなることです。貧しいと孤独になるんです」
まず大学時代の友人たちとはほとんど交際がなくなった。年賀状のやりとりぐらいだ。
「特に結婚した人、子どもが生まれた人とは話が合わなくなって、何となく疎遠になってしまいましたね」
今やっているアルバイト先の人たちとも個人的な付き合いは皆無。「世間話的な会話はするけどそれだけです。本当に上っ面だけの関係ですね」
恋人はいない、友だちもいない、金銭的にも豊かではない。そうなると休みの日でも外出することなく部屋でツイッターを見ている。
「外出しなくなると自分と世間を繋ぐものはスマホだけになります。だけど滅入ることもありますよ。SNSを見ると有名人や起業家、自称投資家なんていう人たちがこれ見よがしにリア充ぶりを見せつけたり俺様自慢をしていますから、ああいうのを見ると劣等感を覚えちゃいます。自分とは人種が違うと思いますね」
もう派遣会社はあてにできないから時間を作ってハローワーク通いしている。だけどまだ新しい仕事は得られていない。
「不動産仲介会社の面接では、あなたの年齢では宅建士の有資格者で実務経験のある人が望ましいと言われてしまいました」
当日の夕方に不採用を知らせるメールが届き、翌々日には提出した書類を返送してきたそうだ。
「一般事務職の代用で派遣社員をやっていただけでは職歴とはみなされません。この先、どうなるのか不安です。本当に」
学生の頃は卒業したら普通に会社勤めをし、そのうち結婚。子どもができたら専業主婦に。35歳頃までにマイホームを買って中の上ぐらいの生活レベルを維持する。そんな人生が普通で自分もそうできると思っていた。
だけど普通ははるかに遠いところにあり、今は日々の生活を営むだけで精一杯。こんな生活からは1日でも早く脱したいと願う。
増田 明利
ルポライター