2020年の民間給与実態統計調査によると、年収300万円以下の人は1,978万人と全体の37.7%。「一億総中流社会」といわれた日本はもはや過去の話、現代の日本は急速に貧困化が進んでいます。ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、33歳非正規社員の“生の声”をみていきましょう。
最高の贅沢は「税込み1,000円以内」のサイゼリヤ…月収17万円、33歳非正規女性の悲鳴【ルポ】
もうクタクタ…ゆとりのないアルバイト掛け持ち生活
とはいえコロナが収束していないのだから、アルバイトを探すのは簡単ではない。
「働ける日数、1日当たりの勤務時間が限られるんです。1つのアルバイトで1日4時間、週4日勤務。こんな感じです」
これでは月収7万円がいいところ。とても生活できないから曜日、時間帯をずらしてもう1つ、更に夜間のみの仕事を週3日追加。3つ合わせてようやく月収17万円という状態だ。
「1日に3つの仕事を掛け持ちすると身体には負担です。体調があまり優れないときはパンクしそうになります」
今のスケジュールはというと、朝8時から正午までは食品ミニスーパーで接客・販売、商品陳列など。帰宅して午後2時から6時まではホームセンターで配送手配、リサイクル処理などに関する事務作業。更に月水土の3日間は夜7時から10時まではファストフード店のカウンターで販売業務。
「3つ重なった日の夜はクタクタで何もしたくない。帰宅できるのは23時頃なので食事するのも億劫です」
食べないと身体が持たないから無理して何か口にするが、冷凍保存してあるご飯を解凍してインスタントみそ汁をかけたねこまんま、食パン2枚とコロッケ1個、玉子1個入れただけの煮込みうどんなどで手のかかる料理は作れない。
「疲れているときはお風呂も面倒になります。シャワーを浴びるだけです」
午前中の仕事がない日は起きるのが11時頃。10時間近く眠ってようやく少し元気になる。
「月に3日、ないし4日は完全にお休みという日があるのですが、どういうわけかお腹が空いて仕方ないんです。3度の食事以外にクッキー、スナック菓子、カップ麺、バナナなどを食べてしまうことがあります」
食欲不振とドカ食いの繰り返しで体重の増減が激しく、肌荒れやニキビができることもあるという。
「生活は今のところなんとかなっています。余裕はまったくありませんけど」