2020年の民間給与実態統計調査によると、年収300万円以下の人は1,978万人と全体の37.7%。「一億総中流社会」といわれた日本はもはや過去の話、現代の日本は急速に貧困化が進んでいます。ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、33歳非正規社員の“生の声”をみていきましょう。
最高の贅沢は「税込み1,000円以内」のサイゼリヤ…月収17万円、33歳非正規女性の悲鳴【ルポ】
買い物は閉店間際のスーパーと100円ショップだけ
月収約17万円に対して支出はどうかというと、家賃とその他の固定費を合計すると7万7,000円。更に社会保険料が約3万8,000円で、残るのは5万5,000円前後になる。
「ここから借金を返さなきゃならないんです。消費者金融とかカードのリボ払いじゃありませんよ。奨学金という名の借金です」
日本学生支援機構から貸与されたのは第二種奨学金で月額4万円。4年間で借りた総額は192万円にもなる。「元利合わせた返済額は月1万1,340円です」返済は15年間180回払いなので返済総額は204万円ほど。
「これは何がなんでも返済しないといけません」
連帯保証人は父親、もう1人の保証人は兄。「わたしが返済を滞らせたら父や兄のところへ請求書が行く。そんなことは絶対に避けたいから」
手元に残った5万5,000円から奨学金の返済分を抜くと、純粋な生活費として使えるのは4万3,000円ほどだ。
「食費は絶対に1万8,000円以内に収めるようにしています。だから買い物は閉店間際のスーパーと100円ショップだけです。値段のことを気にせず欲しいもの、食べたいものを買いたいと思うことがあります」
最高の贅沢はアルバイト代が入ったときだけ行くサイゼリヤでの食事だが、税込みで1,000円が上限。
化粧品も洋服も節約が当たり前
お洒落とも無縁で、女性には必需品の化粧品も倹約対象だ。以前は資生堂や花王の化粧品を使っていたが、今は低価格のちふれ化粧品か100均で売っているものが定番。
「服はバザーで調達することがあります。リサイクル店より安いから」
幼稚園、社会福祉団体、宗教団体などが主催するバザーで手に入れたものは、ウインドブレーカー、セーター、ジャージなど。どれもタダ同然の金額だった。