高額療養費とは、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度です。申請により、医療費の自己負担額を大きく減らすことができるため助かりますが、相続時はほかの手続きに追われ、後回しにされやすいため要注意です。具体的な申請の流れを見ていきましょう。 公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。
40代の母、あっという間に病気で死去。残された20代の子、治療費の支払いに疲弊…亡き母の治療費が払い戻される「高額療養費」とは?【税理士が解説】
親が逝去…「高額療養費」はどうやって請求する?
先日、母が亡くなりました。まだ40代と若く持病もなかったのに、4ヵ月前に倒れて、あっという間に亡くなってしまい、呆然自失状態です。最後の2ヵ月は入院していて、医療費もかなりかかっています。知り合いが「高額療養費の請求ができる」と教えてくれたのですが、高額療養費とはどのようなものでしょうか?
会社員(20代・熊谷市)
「高額療養費」とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
医療費が高額になり、高額療養費の払い戻しの対象となる場合は、医療費を支払ってから数ヵ月後に自宅へ「高額療養費支給申請書」という書類が届きます。
その高額療養費支給申請書に住所や氏名、被保険者番号などを記入し、申請をおこないます。
申請の際には、申請者である相続人の本人確認のための身分証明書や口座、また、相続人全員分の戸籍謄本も必要となります。昨今、戸籍謄本は市役所やコンビニで簡単に手に入れることができますが、準備するものも多いので、漏れのないように気をつけてください。
書類が準備できたら申請を行います。申請先は、高額療養費支給申請書を送付してきた団体で、被相続人の加入していた健康保険が国民保険や後期医療であれば、地元自治体の健康保険課に、健康保険だった場合は、健康保険組合や協会けんぽなどで手続きをします。
用意しなければいけない書類もあり、手間もかかるので面倒だと、高額療養費の手続きはつい後回しにしてしまいがちです。しかし、請求できる期間は2年以内と期限が決まっています。忘れてしまわないうちに、早めに手続きしておくことをおすすめします。