ブロックチェーン、Web3はどのように社会を変えるのか? ビットコインなどの仮想通貨投資は定着したものの、それ以外の応用についてはいまだに形が見えず、一時期の熱気を失っている様子の現在、興味深い先行事例となるのが中国です。「暗号通貨は絶対禁止」の一方で、「ブロックチェーン大国を目指す」という方針を持ち、まさに暗号通貨以外のブロックチェーン社会実装に真っ向から取り組んでいます。今回はそんな中国の事例を紹介するとともに、日本社会のブロックチェーン実装の未来予測について、ジャーナリストの高口康太氏が解説します。
幻滅期のブロックチェーン、中国の社会実装が示す新たな可能性

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

ブロックチェーンのステージは?ガートナーの「ハイプサイクル」

 

ブロックチェーン、NFT、メタバース、Web3……これらブロックチェーン技術を基盤にしたバズワードはほんの1、2年前まではメディアでよく見かけるホットトピックでしたが、最近見かけるのはAI(人工知能)の話題ばかりで、あまり目にしない言葉となってしまいました。

 

ビットコインに代表される暗号通貨だけは投資対象として定着した印象ですが、「世界を変える革命的テクノロジー」と騒がれていた、これらの技術はどこに行ってしまったのでしょうか。

 

「ハイプサイクル」という言葉があります。米コンサルティング企業ガートナーが生み出した用語で、新たなテクノロジーの誕生から普及にいたるまでを黎明期、過度な期待のピーク期、幻滅期、啓発期、安定期という5つのステージに分けています。

 

新技術が登場し、その将来的な可能性への注目が高まると、その期待は非現実的なレベルにまで高まり投資が殺到するピーク期を迎えます。しかし、なかなか期待に見合った成果は得られず失望が広がっていくという幻滅期を“必ず”迎えるというわけです。

 

そこで終わってしまう技術もあるわけですが、なお頑健に生き延びた技術はゆっくりと成熟度を高めながら普及していきます。
 

ガートナーが発表したプレスリリース「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」(https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20230817)より引用。
ガートナーが発表したプレスリリース「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」(https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20230817)より引用。

 

2023年8月にガートナーが発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」によると、前述のブロックチェーンを基盤とした技術はいずれも幻滅期に入っています。熱狂的な祭りが過ぎ去った後、成熟した発展へと立ち直れるのか、それともひっそり消え去っていくのかという岐路にあるわけです。

 

なぜ、これらの技術は失望されたのでしょうか。大規模なシステムの実装が難しい、運用コストが高いという技術的課題をなかなか解決できないのも一因ですが、最大の問題は「適切な利用シーンが見つからない」ことにあります。

 

ブロックチェーン技術には、

 

・国や大企業など単一の管理者に依存しない「脱中心性」
・誰でも記録を検証できる「透明性」
・記録の改ざんが難しいという「普遍性」

 

という特長があります。

 

従来の仕組みでは管理者がデータを改ざんしようとすればできてしまうという不安がありますし、管理者側から見ても自らの持つデータの真実性を保障するのが難しいという欠点がありました。今までの技術にはない強みがあるだけになにかすごいことを起こせそうな道具ではあるのですが、どのような場面でどのように使ったらいいのか、ぴったりはまるモノが見つかっていません。

 

世界中の多くの企業が突破口を開こうと試行錯誤を続けているので、いつかは突破口が見つかるのではと期待しています。その意味でもっとも注目すべき存在は中国かもしれません。