自分にとって“イチオシ”の存在をさまざまな形で応援する活動、「推し活」。今や3人に1人が楽しむ(※)と言われることから、推し活は生活の一部といっても過言ではありません。もっと推しを応援したい、推し活を楽しみたいと考えているファンは多いでしょう。実は近年の新技術やテクノロジーの進歩は、推し活と相性抜群。「推し活×テクノロジー」という組み合わせはファン活動の幅を広げ、新たな価値や可能性を生み出すことに成功しています。さっそく今日から取り入れたくなる、そんなオススメの推し活テックサービスをご紹介します。

(※)博報堂DYグループ 株式会社 SIGNING調査オシノミクス レポートより

テクノロジーで広がる!繋がる!最近の「推し活」事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

欲しいのは、同じ趣味の「友達」。恋愛目的ではないマッチングサービス

(※写真はイメージです/PIXTA)
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推し活がもっと楽しくなる推し友マッチングアプリが、「Favomatch」。18歳以上の女性限定で利用できるというのも人気の秘訣です。好きなアイドルのライブ同行者を募集したり、文通相手を探したり、推し語りの仲間を見つけたりなど、自分の推しを誰かと共有したい時に、友達を見つけられるのです。マッチング自体はもとから存在していた発想・サービスですが、推し活と組み合わさることで、新たな用途(=恋愛以外の出会い・繋がりを目的とするマッチング)が打ち出されました。

 

これまで「推し友探し」は、SNSや掲示板で募集したり、イベント現場で人脈開拓したり、知人に紹介を頼んだりなどの方法で地道に行われてきました。しかし推し友候補を見つけても、実際に交流してみると推し活のペース(イベントの参戦頻度やグッズ購入など)が異なったり、同担拒否(同じ対象を推すファンをライバル視する姿勢)だと判明したりして、気まずい思いをすることも少なくありません。そういう事態を事前に避けるために、Favomatchには年齢や地域などのプロフィール設定に加えて、条件やタイプなど細やかに検索できる機能も充実しています。

 

アイドルグループやゲーム、スポーツなど取り扱っているコンテンツは現在5,000以上。利用同士のコミュケーションに困った時はブロック機能で自衛できるだけでなく、不正なユーザーに対しては運営側が利用停止措置をとり、晒し行為にも対応してくれるというのも安心ですね。

 

推し活に励む人々にとっては、これまでハードルの高かった推し友探しが一気に容易となるとともに、ミスマッチを防ぎつつ関係を構築できます。自分と同じスタンスで推し活を楽しめる仲間を探してみてはいかがでしょう?

デジタル資産を獲得しながら「聖地巡礼」を楽しむ

映画『ハリーポッター』の聖地、キングス・クロス駅(※写真はイメージです/PIXTA)
映画『ハリーポッター』の聖地、キングス・クロス駅(※写真はイメージです/PIXTA)

 

推しにゆかりある地域へ赴く「聖地巡礼」も、テクノロジーと組み合わさることで進化しました。聖地巡礼プラットフォーム「POWP(ポープ)」にはNFT(非代替性トークン)という、データ改ざんがほぼ不可能で、唯一無二の証明が可能なブロックチェーン技術が生かされています。

 

それぞれのNFTには世界で一つだけのシリアルナンバーが付与されていて、誰がいつ作成し、どんな経路で誰の手に渡ったか、現在の所有者が誰なのかといった取引履歴もすべて記録されています。これらの識別情報をコピーしたり、改ざんしたりすることはできません。そのため実体はなくとも資産的な価値があり、ファンにとっては自分の推し活を証明する“履歴”や、唯一無二のファンアイテムやコレクションとなるのです。

 

POWPの利用方法は簡単。興味のあるイベントを見つけて、現地に赴いて参加するだけ。指定されたポイント(聖地)にチェックインすれば、訪れた証明となるPOWP(NFT)をゲットできます。イベント毎に異なるデザインのNFTや参加者限定のプレミアムなNFTを入手できるので、ただ聖地を訪れるだけではなく、集めるという新しい楽しみがあります。

 

近年では「NFT花御朱印巡り」として、電鉄会社が取り入れた企画も。神社仏閣が提供する御朱印をNFTとして購入することができたり、寺社にお参りしてチェックインすれば参拝のNFTがもらえたりできる面白さが反響を呼びました。

 

POWPは、オフラインイベントとも相性抜群。NFTは、イベント来場者特典やコンサートのデジタルグッズとして配布されたり、イベント限定として販売されたり、まちあるきスタンプラリーや商店街の回遊促進を促すツールとしても活用されています。地域経済にとっても更なる活性化を期待できる取り組みといえるでしょう。

 

利用においては、NFTの知識やWEBウォレットの準備がなくてもOK。アプリをスマートフォンに入れておくだけでNFTコレクションが貯められるのも便利です。一度利用すれば眠ったコレクター魂がくすぐられること間違いなし。聖地巡礼の新しい目的に加えてみましょう。

推しの魅力を布教・保存。ファンの誰もが「役割」を持てる推し活プラットフォーム

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

アニメやキャラクター、アイドルなどはIP(知的財産)コンテンツの代表例です。公式アカウントからの発信と同等以上にIPを広げているのが、ファンからの発信でしょう。誰かが夢中になって楽しんでいる様子は他者の興味関心を呼び起こします。

 

ただ推し活にも、長く維持し続けることが困難であったり、ファン単独でできることには限界があったりします。またIPホルダー側としても、ファンの貢献に対して⼗分に報いる⼿段がないのも事実。そんななか、ファンの力をより拡大しながら、推しの魅⼒をファン同士の手によって布教・保存できるwebサービスが「FUSSY(ファシィ)」です。

 

ユーザーは「クエスト」として掲載されるファン活動(例えば、「Instagramで番組公式アカウントをフォローする」「リスナーおすすめの放送についてXに投稿しよう」など)を実⾏し、達成されることでポイントやNFTを報酬として獲得できるという仕組みになっています。その他にも推しの魅力を保存しておく、データベース機能も充実。データベースを基にメディアコンテンツを作成することもできるので、一人では成し得なかった濃厚な情報収集もしやすくなります。

 

サービス内で貢献することで得たポイントやデジタルアイテムは、推しの応援につながるだけでなく、個人の推し活としても記録されていきます。また、獲得したポイント数はユーザーのファンとしてのアイデンティティ表現として用いることも可能。FUSSYはオフラインとオンラインを跨ったファン活動の実績を集積でき、個人のデジタルアイデンティティを形成できる場を醸成しているのです。

今後も「推し活×テック」の新展開に期待大

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

今回は推し活を促進する、3つのサービス・アプリケーションをご紹介してきました。その他にもスマホ画面を推し仕様にカスタムできるサービスやAIと連携して推しとチャットできるサービス、お目当てのオリジナルグッズの物々交換ができるサービスなど、まだまだ興味深いアプリが多数あります。

 

若い世代の推しへの熱量を助長しているのが、スマホをベースとしたデジタルツールでしょう。スマホを眺めて一人の世界にこもり、推しの配信や動画をみて癒やされる…。個人化を促進するスマホというツールと推し活は相性抜群です。また生成AIの発展も著しい昨今。VTuberをAI化すれば、いつでも推しと会話ができたり、身近に感じられたりする生活ができるのです。日常の中に推しが入り込むことで、リアルとデジタルの境界線もより曖昧になってくるかもしれません。

 

日進月歩で開発が進んでいるこれらの新しいテックは怖がらずに受け入れていくこと。そうすれば、テックは人の幸福度の向上に寄与していくはずです。これからも進化し続ける「推し活×テック」から目が離せませんね。

 

 

小倉 ちあき

ライター、インタビュアー