健康な腎臓を保つためには一体どんな食生活がいいのでしょうか。医師の別府浩毅氏は著書『透析専門医が教える! 健康長寿の人が毎日やっている腎臓にいいこと』の中で、「蛋白質に注意」と言っています。一体どういうことでしょうか? その理由を本書から紹介します。
蛋白質は、アミノ酸スコアの高いものを
・必須アミノ酸は、食事でしか摂ることができない
蛋白質は、20種類のアミノ酸からつくられており、すべてが揃わなければ、蛋白質は合成されません。そして、アミノ酸は体内で合成できない9種類の必須アミノ酸と合成できる非必須アミノ酸(11種類)の2つに分類されますが、体内で合成できない必須アミノ酸は、食事で摂る必要があるのです。必須アミノ酸の一つである「トリプトファン」は、「しあわせホルモン」と呼ばれるセロトニンの原料です。トリプトファンが不足すると精神が不安定となり、元気がなくなってしまいます。
ですから、身体のなかではつくられない大事な成分である必須アミノ酸を、食事で摂っていかなければいけません。
食品 スコア
豚肉(ロース) 100
あじ(生) 100
鶏卵 100
牛乳 100
大豆 100
精白米 61
じゃがいも 73
キャベツ 53
トマト 51
りんご 56
なお、上の表は必須アミノ酸の含有率を数値化した指標であり、「アミノ酸スコア」と呼ばれるものです。アミノ酸スコアが100に近ければ近いほど、理想的な食材と言えるでしょう。
・長寿に必要なのは蛋白質の摂取
アミノ酸スコアを使うことで、必須アミノ酸を多く含む食品がわかり、効率的に摂取することができるようになります。アミノ酸スコアの高い食品は、肉、魚、卵、大豆、乳製品です。とくに肉や魚といった動物性蛋白質には多く含まれていて、ビタミンや鉄などのミネラルも豊富に含まれているため、優先して摂取すべき食品です。
100歳以上の百寿者がもっとも多く摂っている栄養素が蛋白質であることを、ご存じでしょうか? 長生きをするには、蛋白質を摂ることが重要なのです。大豆や豆腐は、昔から身体にいいといわれていますが、アミノ酸スコアを見ればその理由がよくわかります。大豆や卵で、必須アミノ酸が効果的に摂取できるのです。あまり摂りすぎてもいけませんが、できるだけ意識して摂るよう心がけましょう。
牛乳についてはさまざまな意見があり、医者のなかでも肯定派と否定派がいるので、気になる人はほかの食品から蛋白質を摂取してください。身体に合う人なら飲めばいいですし、合わなければ無理をする必要はありません。なお、牛乳を摂取する場合には、成分無調整のものを選んだほうがいいでしょう。