新型コロナウイルスの感染拡大を機に、日本でも在宅勤務が普及しました。しかし、自宅で集中して仕事をできるスペースがないと悩んでいる人も多いでしょう。そこで、一級建築士/模様替えアドバイザーのしかまのりこ氏の著書『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)より、空間をうまく使って家庭と仕事を両立する部屋づくりのポイントを紹介します。
テレワークスペースを寝室に造る方法
寝室などの広くない個室にテレワークスペースを造る場合、気を付けなければいけないことが2つあります。それはベッドの位置とエアコンの位置です。
[図表5]はクイーンサイズのベッドを置いてある、広さ6畳ほどの寝室の様子です。
代表的なレイアウトは、このように、ベッドの反対側に、壁に向けてテレワークスペースを造る方法です。
このレイアウトは、広さや動きやすさからいうと、理想的です。
しかし、オンライン会議などのときには、仮想背景で部屋の様子を隠していても、カメラの角度や不具合などで、夫婦のプライバシーが映ってしまうという欠点があります。
また、エアコンの位置も問題となります。エアコンの風は、冷気は水平に吹きだし、暖気は垂直下に吹きだした方が、1番効率的に部屋を冷暖房できます。
しかし、[図表6]のように、エアコンがデスクの真上にくるため、暖房時のエアコンから垂直下に吹きおろす暖気が、デスクを直撃してしまいます。
また冷房時には、水平に吹きだす冷気がベッドを直撃し、部屋を冷やすためには寒さを我慢しなければなりません。
そこで、考えられるレイアウトは、[図表7]のように、ベッドの向きを変えて、ベッドのヘッドボードを利用する方法です。
ベッドのヘッドボードと、背中合わせにテレワークスペースを造ることで、カメラは壁の方を向き、プライバシーが映り込むことを防ぎます。
また、エアコンから吹きだす風を避けることで、冷暖房時にエアコンから受ける影響を、少なくすることができます。
そのほか、[図表8]のように、ベッドのヘッドボードに、直角にテレワークスペースをレイアウトすることも可能です。
カメラは部屋の扉を向きますが、ベッドなどが映り込むことは避けられます。
こちらもエアコンから吹きだす風を避けることができるので、効率の良い冷暖房を行ないながら快適なテレワークが行なえます。
書斎などのテレワークをするスペースがない場合は、それぞれの部屋にテレワークスペースを設置することで、TPOに合わせた、「家庭内ノマド」的な自由なテレワークが可能になります。
しかま のりこ
COLLINO一級建築士事務所
一級建築士/模様替えアドバイザー