新型コロナウイルスの感染拡大を機に、日本でも在宅勤務が普及しました。しかし、自宅で集中して仕事をできるスペースがないと悩んでいる人も多いでしょう。そこで、一級建築士/模様替えアドバイザーのしかまのりこ氏の著書『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)より、空間をうまく使って家庭と仕事を両立する部屋づくりのポイントを紹介します。
テレワークスペースをリビングに造る方法
[図表1]は、広さ10畳の、リビング・ダイニングの様子です。
リビング・ダイニングには、ソファやダイニングテーブルなどの大きめの家具がすでにありますので、これらに追加でテレワーク用の家具を置くと、部屋はとても狭くなります。
そのため、10畳ほどのリビング・ダイニングの場合には、テレワーク用の家具は置かず、今あるダイニングテーブルをテレワーク用のテーブルとして使います。
はじめに、このダイニングテーブルを、[図表2]のように、キッチンカウンターに横向きにレイアウトします。
ダイニングテーブルは4人掛けのものであれば、2~3人で座ることができるため、テレワークをしながら、隣で子供のリビング学習の様子を見守ることが可能です。そしてダイニングテーブル用の椅子を高さの調整ができるものに変えて、長時間のパソコン作業にも適応できるようにしました。
最後に、リビングでお食事ができるように、ソファに合わせた低めのテーブルと、1人用のソファも追加しました。ソファとダイニングの機能を兼ね備えたダイニングソファとして使うことができます。[図表3]
テレワークスペースをダイニングに設置することで、食事をするテーブルで仕事をすることもなくなり、食事のたびにお仕事用品を片付ける面倒がなくなりました。
また、テレワークスペースという明確な空間ができたことにより、仕事用具などがリビング・ダイニングに散らかることも、少なくなりました。
デッドスペースに造る方法
部屋の柱の近くや階段の下には、何にも使われていない「デッドスペース」というものがあります。実はこのデッドスペースですが、壁などが多く小スペースであるため、テレワークには、うってつけの場所になります。
[図表4]は、「デッドスペース」であるリビング階段の下に、テーブルや椅子を置いて、テレワークスペースを設置してみた様子です。
階段の周りには、筋交いなどがはいった、構造体になる強い壁が多く存在します。
そのため、例えば、机の脚を取って、壁で支えるカウンターテーブルを設置することもできます。構造体の壁に複数の金物でカウンターテーブルを留め付けることにより、耐荷重も高く、しっかりしたテーブルになります。
また、脚がないことで掃除も楽になり、スッキリした印象のテレワークスペースにすることができます。