2024年1月2日、新年早々発生した羽田空港地上衝突事故の衝撃は、いまだ記憶に新しいところです。この時のフライトアテンダントの冷静・的確な行動は賞賛を集めましたが、こうした緊急のトラブルが起きたときのため、フライトアテンダントは厳しい訓練を受けているといいます。本記事では『国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は“自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、バンクーバー在住・現役CAのRyucrew氏が、緊急時のフライトアテンダントの対応について解説します。
炎上する機体!「早くドアを開けてください」と悲鳴も…羽田空港地上衝突事故でフライトアテンダントがすぐにドアを開けなかった理由【現役CAが解説】
JAL機炎上事故で、なぜ早くドアを開けなかったのか
JAL機炎上事故の動画のなかに「早く出してください」「開けてください」という子どもの声が入ったものがありました。それを見て、なぜ早くドアを開けないのか、不思議に思われた方も多いかもしれません。
あくまで同業者としての推測ではありますが、一番の理由には、フライトアテンダントが機長からの指示を待っていたことが考えられますし、インターホンも壊れていたのかもしれません。実際に、前方にいたフライトアテンダントには機長の指示が聞こえたけれども、後方には伝わらず、最終的にはフライトアテンダントの判断で脱出したと聞いています。
自身の判断でドアを開けるのは、相当な覚悟が必要だったと思いますが、動画を見る限り、JALのフライトアテンダントの方々は、瞬時にいろいろなことを処理されていたのではないでしょうか。
もうひとつ、非常時だからといって、すべてのドアを開けてもいいわけではありません。機長の「脱出!」というコマンドには「脱出に使えるドアを開けなさい」という意味が含まれています。フライトアテンダントは担当するドア付近の窓から外を見て、出火がないか、開けた先に障害物がないか、スライドを出したときに無事脱出できる高さかどうか、などを瞬時に判断しなければならないのです。
本当ならば、このような緊急事態は起こらないのが一番です。ただ、何が起こるのかは誰にもわかりません。もし緊急事態が起こったら、まずはフライトアテンダントの指示を聞くこと、自分勝手な行動をしないことが重要だと思います。
また、搭乗して席に座ったら、必ず安全のしおりに目を通し、少し長いかもしれませんが離陸前に流れる機内安全ビデオを見ていただけたらと思います。
Ryucrew
現役CA(キャビンアテンダント)