フライトアテンダントとして働いていると様々な乗客との出会いがあります。いい出会いばかりであればよいのですが、なかにはトラブルに発展しないよう苦慮する場面もあるようで……? 本記事では『国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は“自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、バンクーバー在住・現役CAのRyucrew氏が乗客に対する「うまい立ち回り方」の例をご紹介します。
機内の床で寝る乗客…どう対処する?
フライトアテンダントとして働いていると、いろいろなお客様との出会いがあります。いい出会いももちろんありますが、なかには対応に苦慮するケースもしばしば。そんなときはいかにしてうまく立ち回れるかが大切で、今なお修行の毎日です。
深夜便でよくあるのが、機内の床で寝るお客様。
海外のお客様に結構いらっしゃいます。横並びの席に2人で乗って、ひとりはイスの上に横になり、もうひとりは座席の足元に横になるのです。乱気流に遭遇することもあるので、何度も「そこで寝んといて」と声を掛けに行くのですが、10分くらいするとまた寝ています。
そういうときは、乱気流に遭遇したときにシートベルトをしていない状態だと、とても危ないことを丁寧に説明します。
「シートベルトをせずに働いていたフライトアテンダントが吹き飛ばされて首を痛め、なかには言語障害が残った人もいるんやで」「もしあなたが吹き飛ばされて、ほかのお客様にぶつかったら、どうやって責任とるん? 危険なんはあなただけじゃないねんで」と話すことで、ようやく座席に戻ってくれます。
そもそも深夜便は、機内の照明を落としていて暗いので、床に寝られてしまうとよく見えず、誤ってカートでひいてしまう可能性もあります。そのようなことが起これば、当然ながらこちらの責任になりますから、未然に事故を防ぐためにも、やめていただきたいと思います。
寝ているお客様を起こすことは、できることならあまりしたくありません。無理に起こせば機嫌を損ねてしまいますし、状況を把握するまでに時間を要するからです。
深夜便だと、朝に2回目の機内食を出すことがあるのですが、ビジネスやプレミアムエコノミー*のお客様には、1回目の機内食を提供するときに「朝食はどうする? きっと寝てると思うけど起こしたほうがいいですか?」とあらかじめ確認しておきます。
そうするとなかには「起こさんといて」というお客様もいますが、せっかくの機内食ですし、「起こして」というお客様も結構います。
でも、私の経験上、起こしてほしいと言われたから声を掛けたのに、大抵は機嫌の悪そうな顔をされます。それがわかっているので、お休み中のお客様に声を掛けるのはどうしても憂鬱で少し苦手です。