「どうやったら楽になるか?」から考える

では、「面倒くさいがなくなる仕組み」は、どのように作ればよいのでしょう。片づけの前提として、具体的なイメージを描くことが大切だというのは前述の通り。「なりたい自分」を考えるには、「何が嫌?」「どんな自分が嫌?」と問いかけることが必要だとお伝えしました。

仕組み作りも同じステップで考えてみましょう。「この家で、私が嫌だと思っていることは何だろう?」そういう目で周囲を見渡すことから始めてください。

例えば、女性がよく使う場所としてキッチンを例に挙げて考えてみましょう。よく使う場所だからこそ、本来ならノーストレスで過ごしたいですよね。でも意外と、「これ、なんでここに入っているんだっけ?」というモノが見つかることがあります。

Mさんがキッチンで嫌だと感じていたのは、ストックバッグの収納場所でした。ストックバッグは、食品を分類して収納したり、小分けしたりするのはもちろん、調理にも使えるので、そのお宅では非常に登場回数が多いとのことでした。

それなのに、そのお宅では、なぜかストックバッグが、踏み台を持って来なければ取れないような、キッチンの吊戸棚の一番上にある平たいスペースに入っていたのです。「なぜその場所に入れておくのか」と聞いたところ、ストックバッグを並べて収納しておくのに、その平たい場所がストックバッグの箱にピッタリだったから、との答えでした。

でも考えてみてください。登場回数が多いストックバッグが吊戸棚の一番上に入っていたらどうなるか。踏み台を持ってくる、踏み台に乗って吊戸棚を開ける、ストックバッグを引き出して取って戸棚を閉める。作業をしたら、また踏み台に乗って、戸棚を開けて、ストックバッグを戻して、戸棚を閉めて、踏み台を降りて、踏み台をしまう……。

ストックバッグを使って、片づけるまでに、一体、何工程かけているのでしょう。ストックバッグを使うたびに、その工程を繰り返さなければならないとしたら、実はとても労力がかかっていますよね。

モノを取り出したり、戻したり、つまり「モノを出し入れするのに必要な動き」を「アクション数」と呼んでいます。だからこそ、アクション数を考えてみてほしいのです。もしも仕組みを変えてうまくいったら、とても快適になると思いませんか?

一度、仕組みを変えてしまえば、「ああ、使いづらい!」とモヤモヤしながら家事をしなくて済むようになります。仮に10分、15分かかったとしても、1カ月単位で見たら、すぐに取り戻せると思いませんか。

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モノを「取り出し&戻す」ときのアクション数を減らそう

西﨑 彩智
株式会社Homeport  代表取締役
お片づけ習慣化コンサルタント