老後年金だけでは暮らせない時代となったいま、「定年後のキャリア」をどのように考えるべきか……金澤美冬氏の著書『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)より、現役世代の“生の声”をみていきましょう。
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キャリアコンサルタントの資格をとるも、立ちはだかった「年齢」の壁
東京に戻ってからは、関連本を60冊読破
東京に戻ってからは「定年」「専業主夫」関連の本を60冊くらい読みました。それらの中には「マイカーを手放そう」「年賀状もやめよう」という、社会を狭めていくことをすすめる本もありましたが、これは収入の問題を解消するためのもの。
定年退職後は収入が減ることが普通ですから、「今までと同じ生活じゃダメよ」というもので参考にはなりましたが、直接的な定年後のプランのイメージは湧きませんでした。
そんな中『あゝ定年かぁ・クライシス』原沢修一(ボイジャー)という本に出会いました。この本は定年前に思い描いていたことと、定年後のギャップを綴ったもので興味深く読みました。
著者の原沢さんは58歳で早期退職され、キャリアコンサルタントの資格を取られたそうです。この本を読むまでは、キャリアコンサルタントの中身もよく分からなく、そんな資格があることも知りませんでした。
それで、まず私も真似をしてキャリアコンサルタントの資格を取ってみたのですが、この資格を持って定年後の就職活動をしてもうまくいきませんでした。何十社あるいは大学のキャリアセンターなどを受けても、年齢を理由に書類だけで「ごめんなさい」と断られるんです。
正直辛いものがありましたが、「会社には残らない!」という宣言をした以上、後戻りはできません。「もし仕事が見つからなければ、派遣でもパートでもバイトでも良い」と、そういった求人に応募することもありました。
救いとなった「退職金」と「ローンの終わり」
ただ、それでもまだ救いだったのは「まとまった退職金がもらえる」「住宅ローンもそろそろ終わる」の2つです。
それから、自分で積み立てた個人年金もありました。金銭的にすぐに仕事をしなくても良かったのは、長年サラリーマンをやってきたおかげです。ですので、もちろん会社に感謝もしていますし、それまでの自分の経験も良いことだったと自負しています。
でも、それはそれ。「定年はゴールではなくスタートである」ということを、書類で落とされるたびに痛感する次第でした。