公的年金を受給していた家族が亡くなった場合、年金事務所に死去したことを告げるだけでは「未支給年金」を受け取り損ねてしまうかもしれません。故人の未支給年金は、生計を一にする三親等以内の親族なら、受け取ることができます。手続きの方法や注意点を見ていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。
未支給年金は「請求しないともらえない」
発生した未支給年金は、待っていても自動的に支給されることはありませんので、注意が必要です。
年金受給者の相続が発生する、つまり亡くなると、年金を受ける権利も同時に失権するため、亡くなった方の銀行口座には、年金は振り込まれないのです。
そのため、未支給年金を受け取るには請求手続きが必要です。
また、未支給年金を受け取ることのできる相続人は、年金受給者と生計を一にしていた遺族、例を挙げると配偶者、子、孫など、3親等内の親族に限られます。
受け取った未支給年金、相続税はかからないが注意点も
未支給年金は相続財産ではないので、受け取った未支給年金に相続税はかかりません。しかし、確定申告が必要な場合があるので、注意が必要です。
年金受給者の場合、公的年金が年間400万円以下で、その他の所得も20万円の場合であれば、確定申告は必要ありません。しかし、未支給年金を受け取ることで年金が合計400万円を超えてしまった場合は、確定申告が必要となります。
未支給年金の請求時に必要な書類とは?
未支給年金を請求する際には、年金事務所へ「未支給年金・未支払給付金請求書」の提出が必要です。「未支給年金・未支払給付金請求書」の用紙は日本年金機構のWEBサイトからダウンロードすることができます。
「未支給年金・未支払給付金請求書」には、死亡した受給者の「基礎年金番号」「年金コード」や、受取人の銀行口座やマイナンバーの記載が必要になるほか、死亡した受給者の「年金証書」「戸籍謄本」または「法定相続情報一覧図」「通帳の写し」を添付する必要があります。
こうして請求した未支給年金は、自分が指定した銀行口座に振り込まれますが、もし、亡くなった方が年金を受け取っていた銀行口座を解約していなかった場合、遺族が指定した銀行口座ではなく、亡くなった方の銀行口座に振り込まれてしまう可能性があるため、注意が必要です。
未支給年金は、相続放棄した人でも受け取れる!
被相続人に借金などがあった場合、相続放棄を選択している方も多いかと思いますが、未支給年金は相続財産ではないため、未支給年金を請求できる方が相続放棄をしていても、受け取ることが可能です。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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