先進国各国において「少子化問題」は大きな問題となっていますが、フランスでは出生率低下を食い止める国の対策が効果を発揮。少子化傾向は続いているものの、現在EUではトップの出生率となっています。出生率の低下が止まらない日本が参考にできることはあるのでしょうか? 今回は、日本在住のフランス人ジャーナリスト・西村カリン氏の著書『フランス人記者、日本の学校に驚く』(大和書房)から一部抜粋して、フランスの対策をご紹介していきます。
移民が数を引き上げている?
ちなみに、フランスで出生数が増えたのは移民が数を引き上げているという論調もある。たしかに移民の出生率は移民でないフランス人に比べて高いが、全体の出生率を0.09~0.11ポイント押し上げているに過ぎない[図表2]。
では、日本では移民を受け入れる必要があるのか。日本の問題はまず、出産可能年齢の女性の数が足りないことにある。外国から出産可能年齢の女性が来日することで政府が目標とする出生率1.8ポイントには届かなくても現在からプラスに改善できるのではないか。少子化を本気で解決する意思があれば、移民の受け入れは1つの選択肢だ。
ただ、それは日本人の国民の選択であるべき。外からの圧力で決めるのは間違いだ。海外で移民政策が失敗だったから日本も移民を受け入れない、といった単純な判断もよくない。ちゃんとした判断をするために、移民を受け入れないなら、どのような社会になるか、どんな問題が生まれるのか、どの政策をとっていくかをきちんと把握すべきだ。
同時に移民を受け入れたら、どんな条件で入国を認めるか、どんな環境を整えるべきか、などなどを確認しなければいけない。どちらの選択肢もメリットとデメリットがあり、リスクがあるため、国民全員が考える必要がある。
西村カリン
ジャーナリスト