フランスの義務教育は3歳から~16歳まで

フランスの学校はどんなところなのか。まず、義務教育が3歳から16歳という点が日本と大きく違う。これは2017年に就任したマクロン大統領の政策により、2019年、小学校就学前の子どもまで義務教育が広がったことによる。基本的に3歳から6歳までの3年間を幼稚園で過ごす。2歳児も利用可能だ。

そして小学校は5年間、中学校は4年間。義務教育の終わりには試験がある。日本の高校入試とは目的が違って、あくまで学んだことが身についているかを確認するものだ。その後、高校が3年間、そして大学が2年から10年へと続く。フランスの学校で重要な試験といえば、高校3年生の終わりにある「バカロレア」だ。これは高校の卒業資格でもあり大学の入学資格でもあって、無事バカロレアを突破すると大学生になることが可能。

義務教育に話を戻すと、年間を通して、授業は9月から翌6月末まで。基本的に6週間か7週間の授業期間があり、その後、2週間の休みがある。つまり6(7)週間+2週間のサイクルを繰り返すのだ。このサイクルは、子どもにとって定期的に休暇を設けることが重要という考え方から来ている。しかも、その休暇は、11月1日(キリスト教のお盆にあたる)や12月25日(クリスマス)など、フランスの重要な祝日に合わせている。

ただ、子どもが休んでいる間、仕事を休めない親も多い。そこで、この期間の子どもの過ごし方をあらかじめ考えておく必要がある。おばあちゃんの家に行かせる家族、保育ママを利用する家族、全国にある「子どもレジャーセンター」に通わせる家族(わたしも子どもの頃によく通っていた)。

この休暇サイクルには賛否両論あり、よいと考える親もいれば、困っている親もいる。49歳の看護師の女性はやや厳しい顔でこう話す。

「この休暇に適応する方法を知っておく必要があります。今回は連休中、幸運にも朝7時に子どもたちをデイケアセンターに預けることができました。夜勤のある夫が午後に子どもを迎えに行きます。休暇のスタートが週の真ん中だった場合は(デイケアセンターは週の始めから預けなければならない)、友人や近所の人と2~3日過ごす手配をしました」

また、退職後の69歳の男性はこの休暇サイクルに好意的だ。

「夏休みを除いて7週間ごとに2週間の休みをとることが、子どもの持つリズムにぴったり合っていると思います。また、年間を通して授業に集中しやすくなります。祖父として、5人の孫と家で過ごす時間も長くとれます」

1週間単位で見ていくと、授業日は月曜日から金曜日まで。水曜日を休みにする学校も多く、水曜日の午後のみを休みにする学校もある。1日の時間割は基本的に、朝8時過ぎから午後4時半まで。日本の学校が午後2時半から3時半に終わるのと比べれば、滞在時間は長い。

その代わり、昼休みをたっぷりとる。フランスでは必ずしも学校で給食を食べるわけでなく、地方の学校ではいったん家に帰って昼食をとる生徒も多い。よって昼休みが1時間半しかなかったら、移動時間も入れると速いペースで食べなければならない。昼休みが2時間あれば余裕のあるランチタイムとなる。