超高齢社会の日本では、長寿化にともなって60歳以降も働くことが当たり前となりつつあります。しかし、じつは「働けば働くほど年金が減る」可能性があることはご存じでしょうか。いったいどういうことか、詳しくみていきましょう。『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)著者でファイナンシャルプランナーの岡崎充輝氏が解説します。
年金だけでは老後が不安→勤務続行も…60歳超で「月収47万円以上」の会社員を襲う〈在職老齢年金制度〉の理不尽【FPが警告】
60歳以降、年収が下がったら…国からもらえる給付金
働きやすい環境になってきたといっても、まだまだ60歳で定年という会社は多く、65歳まで働けることは保証されたといっても、60歳以前と同じ給料を保証する……という法律ではないので、お給料が減ってしまう可能性はあります。
「年金は65歳からだというのに、年収まで減ったら生活できない」という方に、国は、次のような「高年齢雇用継続給付」という制度を設けています。
[受給要件]
・雇用保険の加入期間が5年以上あること
・60歳以降も継続雇用され雇用保険の被保険者(加入者)であること
・60歳以降の賃金額が60歳到達時の賃金月額の75%未満で、賃金額が36万0584円未満であること(令和3年8月1日以後・金額は毎年変更される)
・受給期間は、60歳から65歳未満の最大5年間であること
・60歳到達時の賃金月額は、次の計算式により算出される(60歳到達時前6ヵ月の賃金総額÷180)×30
・60歳到達時の賃金月額の限度額は47万3100円であること
[受給額]
60歳以降の賃金額の15%相当額を限度に60歳以降の賃金額の低下率に応じる
低下率が61%以下の場合…60歳以降の賃金額×15%
低下率が61~75%未満の場合…60歳以降の賃金額×低下率に応じて15%より逓減した率
うーん、ややこしいですね。ざっくり言えば、60歳を超えて働く場合、給料が60%未満になれば15%分補填されるという制度です。
大きな会社であれば、こういった手続きも会社から教えてもらえるのですが、小さな会社では見落とされてしまうケースもあります。ですので、こういう制度があることをまず覚えておいてください。
岡崎 充輝
ファイナンシャルプランナー
株式会社ヘルプライフオカヤ 代表取締役