飛び級する子がいれば、留年する子もいる

フランスの学校では飛び級や留年がある点も日本の学校とは違う。勉強が進んでいる子は、まわりの子と同じペースで進級しても授業に興味を持てない可能性があるため、1つ学年を飛ばして進級することもできる。一方、勉強が遅れている子は進級しても授業についていけないので、同じ学年をもう一度やり直す。

小学校での割合として、飛び級の生徒は1%以下、2018年に留年する生徒は1.9%だ。わたしが子どもの頃は、義務教育の間に留年する子が1割程度だったが、今はだいぶ減っている。というのも親が留年に反対するケースが多いからだ。このよしあしは専門家の間でも意見が分かれている。政治家の間でも留年制度の拡大を推し進めている人もいるが、親たちの反対にあい、実現するかは不明だ。

たしかに、2年連続で同じことを学ぶのは、子どもにとっても楽しいものではないはず。ならば次の学年に進み、個人的な支援を受けながら学ぶほうがモチベーションも上がり、自己評価も上がるだろう。支援に切り替えることは得策ではあるが、実際は支援員の人手不足で完全には実現できていない。

飛び級は、たとえば医師や弁護士の家庭の子どもほどその割合が高い。一般家庭の子どもは飛び級の割合が低くなる。やはり学びの環境の違いによるものだろう。いずれにしても日本のように40人学級だったらそれは容易なことではないはずだ。

「小学校で1クラス40人の子ども?本当に?」

2022年から2023年、フランスの小学校で1年生を担当するオレール先生からするとあり得ない状況だ。おそらく、フランスの学校は〝暴れん坊〟の子どもが日本より多いため、40人もいると想像するだけで嘆きたくなるのだろう。

フランス政府のデータによると、小学校のクラスの平均人数は21.9人、中学校は25.6人。日本ではOECDの調べによると、小学校の平均人数は27.2人、中学校は32.1人、高校は平均人数のデータはなさそうだが、40人まではOKだ。

オレール先生はこう説明する。

「フランスの高校では36人のクラスもありますが、小学校では最大でも30人です。わたしのクラスには24人の生徒がいますが、複数のグループに分けて授業をします。1クラス40人という状況になったら、先生も親も抗議すると思います。今は、一部の問題のある地域で小学1年生のクラスは最大12~15人になり、その100%の達成が目標です。その特別なクラスの子どもは小学2年生になるまでに全員がすらすらと文章を読めるように指導します」

まさに、わたしが日本で最初に40人クラスの授業を見たとき、目を疑った。40人もいるにもかかわらず、子どもたちが先生の言うことをよく聞き、驚くほど静かだったから!

西村カリン
ジャーナリスト