6月26日は「露天風呂の日」。開放感あふれる自然のなかで浸かる露天風呂ほど格別なものはありません。今回、温泉博士である小林裕彦氏の著書『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より、全国にある「源泉かけ流し」の露天風呂のなかから、選りすぐりの10ヵ所を紹介します。
山奥の秘湯から風情あふれる混浴風呂まで…“温泉の醍醐味”を堪能できる、至高の〈露天風呂〉10選【温泉博士がおすすめ】#露天風呂の日
これぞ「本物」の源泉かけ流し!一度は足を運びたい、珠玉の露天風呂
6.【福島県】会津中ノ沢温泉 いろり湯の宿 大阪屋
鮮やかな青白色の硫黄泉です。
源泉は沼尻元湯です。硫黄臭立ち込める沼尻元湯には、1分間当たりなんと1万リットルもの源泉が湧いています。それを6キロメートル引き湯しています。そんな距離を引き湯すると、泉質が落ちそうですが、ここはかえって有毒ガスが抜けて“こなれた良い泉質”になるようです。
温泉地には、何軒か旅館があります。泉質はどこも大体同じで、すべて源泉かけ流しです。強酸性の硫黄泉なので、忌まわしい循環装置はすぐに壊れてしまいます(^^)。
露天風呂と内湯があり、しばらく人が入らないと硫黄分が底にたまります。足で底をかき回すと、透明だった温泉がすぐに青白色に濁ります。
7.【富山県】たから温泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物泉です。温泉成分表の話をすると少し退屈なので省略しますが、ここは全体的にさまざまな温泉成分が濃い温泉です。
浸かった瞬間、塩分をはじめとする温泉成分が肌にピリッときます。源泉が49度と熱めなので、なおさらぐっときます。源泉の色は温泉成分の濃さを反映して、濃いめの緑白色です。
油臭が強烈です。石油系というよりナフタリン系という方がいいかもしれません。内湯に浸かると、油臭で頭がクラクラします。
旅館の名物はタラ汁で、お鍋にいっぱい出てきます。温泉同様、パワフルな食べ物です。
8.【山梨県】奥山温泉
JR身延線の井出駅という無人駅から、車で30分ほどです。
それにしても、ここはかなりの秘湯です。周りには山以外、何もありません。深い山の中の一軒宿です。秘湯ですが、建物はきれいで、浴槽は広いです。
南部町営の施設ですが、今は指定管理で民間の会社が経営しています。
アルカリ性単純泉です。42度の源泉をそのままかけ流しています。毎分200リットルの湧出で、湯量も十分です。浸かると、つるつる感がすごい。硫黄臭もします。アトピーなどによさそうな、やわらかい泉質です。
露天風呂は広くて少しぬるめですが、あえて加温していません。
9.【長野県】八ヶ岳縄文天然温泉 尖石の湯
循環風呂の施設が「天然温泉」と平気で名乗っている場合があるので、注意が必要です。
この旅館は、本物の源泉かけ流しです。まさに本来の意味での天然温泉です。
ナトリウム-硫酸塩・炭酸塩・塩化物泉です。
自然の中に造られた露天風呂は、風情があります。黄土色の色鮮やかな源泉です。少し塩味があります。浸かると、じんわり温まってきます。
サルフェート(硫酸塩)の含有量の多さを売りにしています。サルフェートには利尿作用があり、デトックスの効果が見込めるそうです。
健康を意識した旅館で、湯治宿泊や「温泉ジュース断食プラン」もあるようです。
10.【長野県】葛温泉 髙瀬舘
単純泉です。
最寄りは、JR大糸線信濃大町駅です。山の中の秘境です。この温泉地には、髙瀬舘以外に仙人閣、湯宿かじかと、合計3軒の源泉かけ流しの旅館があります。
温泉地の湯量は豊富で、源泉温度も80度と高いです。他の温泉地にも源泉を供給しているようです。
広くて開放的な露天風呂がいいでしょう。湯量が豊富だからこそ、実現できる広さです。もちろん内湯もあります。
浸かると、実にマイルドで滑らかな泉質です。単純泉とはいえ、温泉成分が豊富な感じがします。じわーっと温まってきます。
信州の温泉らしい風情を感じます。
小林裕彦
小林裕彦法律事務所
代表弁護士