本格的な湯治場が軒を連ねる「栃木」「群馬」の温泉地。一度訪れたことのある人も知らない秘湯が、まだまだ隠れています。温泉博士であり弁護士である小林裕彦氏の著書『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より、この2つの地域の温泉について紹介します。
「栃木」「群馬」に行くなら見逃せない、源泉かけ流しの温泉
1.赤滝鉱泉【栃木県】
ここは十大秘湯に挙げていいと思うくらいの秘湯です。JR矢板駅から、車で30分ほど山の中に入って行きます。酸性-鉄鉱泉です。
浴槽はこぢんまりとしています。というか、狭いです。ph3で、源泉温度は13.2度の冷鉱泉です。バルブをひねると、源泉がドバドバ出てきます。これが実に酢っぱい。しかも鉄分がすごい。沸かすと褐色になります。
浸かるとキシキシした肌触りです。しばらくすると、じんわりと温まってきます。
明治の初めの創業だそうです。何から何まで本物の湯治場です。付近には、小滝鉱泉と寺山鉱泉があります。この辺りは全国的にも大変珍しい、鉱泉密集地帯です。
2.草津温泉 元湯 泉水館【群馬県】
草津古来の12の源泉の「君子の湯」という自家源泉を有する旅館です。12の源泉は、いくつか枯れています。草津温泉のような湯量の多い温泉地でも、自家源泉を持っている宿は希少です。
浴槽の造りと、青光りした源泉がいいでしょう。これぞ草津の湯という感じです。
含硫黄-アルミニウムー硫酸塩・塩化物泉が、かけ流されています。草津温泉の湯畑源泉、白旗源泉、煮川源泉とは異なり、実にマイルドでやわらかです。ピリッとする感じが少なく、肌によく染み込む感じがします。それでいて、草津特有の湯力があるように思います。
浴室は湯治場的な雰囲気ですが、建物はしゃれています。