ものを捨てられない、捨てることに抵抗を感じる年配の方は非常に多いです。ご自身の親にも思い当たるところがある方もいるかもしれません。しかし、実家を散らかったままにするわけにもいかず……。本記事では『心、お金、時間の巡りがよくなる「暮らしのサイクル」の作り方』(KADOKAWA)の著者で整理収納アドバイザーの井田典子氏が、高齢親の家を片付けるための工夫について解説します。
「もう捨てたら?」は禁句…ものを大切にする高齢親、散らかり放題となった実家が片付く〈代わりの声掛け〉【整理収納アドバイザーの助言】
親の老い、整理のコツ
Q.実家がどんどんと散らかっていきます。高齢の両親にまず、何をしてあげればいいでしょうか。
A.ものを大切にしていた世代に対して「もう捨てたら?」は禁句と心得ましょう。楽しむ時間を共有することも大切です。
誰もが歳を重ねていくのは当然ですが、自分の両親だけはいつまでも変わらずにいてほしいという願望があるだけに、現実を受け入れるのはつらいですよね。でも私たちもいつかはたどる道、と思えばしだいに寄り添えると思います。
まず親の世代は苦労の連続だったことを理解して、ものをたくさんため込んでいても責めないで、これから少しでも「安心、安全、清潔」な環境を作る手伝いがしたいと伝えることが大切です。「捨てる=粗末にする」なので、「もう捨てたら?」は禁句です。これからも使うものを「選んで」と声をかけ、近くにまとめることで探し物が減ります。
床置きにするとつまずきやすく、敷物は滑りやすく、棚に積み上げたものは危険です。「置かない、敷かない、積み上げない」は年代を問わず心がけたいことですが、危ないだけではなく、掃除が行き届かなくなることもやんわりと伝えましょう。
高齢になるほど変化に適応しづらいため、大規模な移動をすると不安にさせてしまいます。片づけばかりを話題にすると気まずくなるので、昔の写真を見ながらお茶を飲んだり楽しむ時間も共有できるといいですね。
整理収納アドバイザー
井田 典子