「リースバック」という言葉を聞いても、いまいちピンと来ない、という人も多いのではないでしょうか? 会社で使用される「社用車」などの法人車両のリースを理解するうえで、是非知っておきたい「リースバック」という方法について、多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が解説します。
会社で車を所有する際、必ず検討したい「リースバック」とは?【税理士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

知っておきたい「リースバック」の基礎知識

「リースバック」とは、リース会社がお客さま所有の車を買い戻し、月々の利用料で利用者に貸し出す仕組みをいいます。

 

法人車両を一括で購入して揃える場合、多額の資金が必要になるうえ、車両管理や事務手続きが非常に煩雑になることが予想されます。このような場合に活用したいのが、リースバックです。購入時よりも総支払額が高くなるケースもありますが、特に、営業上必要な車両台数が多くなりがちな法人には、メリットの多い仕組みといえるでしょう。

 

法人の車両のリ-スバックは、リース会社によって、取引の流れは多少異なりますが、一般的には、次のような流れで手続きが進みます。

 

1.社用車をリース会社へ売却(帳簿価格での買取が基本です)

 

2.リース会社が車両代金を支払う

 

3.リース会社が買い取った車両をリース車として契約する

 

4.リース会社に毎月リ-ス料金支払いのもとで車両を使用する

リースバックをする「メリット」と「デメリット」

では、リースバックをする際のメリットとデメリットとして、どのようなものが挙げられるでしょうか?

 

リースバックの「メリット」

1.車両をそのまま利用できる

本来であれば、車両売却後は、所有者が買主に渡り、車両もそのまま引き渡すことが必要です。しかし、リースバックでは、所有者はリース会社に変わるものの、使用者は法人のままであるため、引き続き車両を使うことができます。

 

2.会計上の損益に影響しない

リース会社へ売却する際、原則、帳簿価格での購入となります。そのため、車両売却損益は発生せず、会計上の損益に影響しません。

 

3.コストを平準化することができる

リース契約を結んだあとは、毎月定額のリ-ス料金をリース会社に支払い、車両を使用します。リース料金には税金や保険料などが含まれているため、車両を所有していたときにかかる費用が、リース料に一本化され、コスト管理や事務作業が軽減されます。

 

4.車両管理を軽減できる

これまで車両所有で必要だった定期的な点検も代行してもらえ、整備士がしっかりとメンテナンスを行った、安全性が維持された車両を使用できます。コスト管理が軽減されつつも、メンテナンスが十分に行き届いた車両を使うことができます。

 

5.資金調達ができる

車をいったんリース会社に売り渡すので、その分の資金調達が可能となります。

 

リースバックの「デメリット」

1.リ-ス料が発生する

毎月支払う「リース料」が発生します。毎月の決まった固定費として支出されることを、負担に感じることがあるかもしれません。

 

2.自由にカスタマイズできなくなる

車両の所有者がリース会社のものとなるため、自由にカスタマイズすることができません。無断で車両に手を加えたときは、契約終了後、原状復帰の費用が発生します。

 

3.契約期間内に解除できなくなる

リ-ス契約期間中は、解除することができません。中途解約する場合は、「中途解約金」が発生することになります。