夫を亡くした妻の生活を支える「遺族年金」。しかし、遺族年金だけを頼りに生きていくのは、現実的ではなさそうです。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の井内義典CFPが、具体的な事例を交えて解説します。
パート勤めの52歳女性、絶句…年収800万円・54歳サラリーマン夫の逝去→年金事務所で告げられた「まさかの遺族年金額」【CFPの助言】
厚生年金への加入で得られるメリット
とはいえ、厚生年金に加入するということには大きな意義があります。厚生年金に加入するということは勤務時間を増やすことが必要になってきますが、その分給与収入が増えることにもつながります。給与が増えると、その分を貯蓄に回すことができ、老後資金を作ることも可能になるのです。
遺族年金は在職中の収入があっても、調整・減額はされず、そのまま受け取ることができます。
さらに、厚生年金と同時に健康保険にも加入することによって、病気などで会社を休むことになった時に傷病手当金も受けられ、いざというときも安心です。
陽子さんの場合、まずは、いまのパート先で勤務時間を増やせるか、その結果として厚生年金に加入できるかを確認するとよいでしょう。
年金制度の「改正」にも注目しながら備える
年金制度はこれまで改正を繰り返しており、また今後も改正があると思われます。現在でいうと、国民年金加入義務が20歳から60歳未満の40年間であるところ、これを20歳以上65歳未満の45年に拡大される方向で議論が進んでいます。また、遺族年金制度も議論の対象になっているのです。
この議論はまだなにも決定されていませんが、こういった将来の改正にも注目し、自身に影響しそうな項目を確認しながら備える必要がありそうです。困ったときには、ファイナンシャルプランナーをはじめ専門家に相談しながら準備を進めてみてはいかがでしょうか。
井内 義典
CFP
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役