映画やドラマがおもしろいと、誰かに伝えたくなるものです。そのときに「さわりの部分だけ説明するとね…」と言って、冒頭がどんなストーリーなのか話すこともあるでしょう。しかし本来「さわり」は「冒頭」という意味ではないのです。このように、日本にはいつの間にか元と違う意味で浸透してしまった言葉があります。今回はそんな日本語の本来の意味について解説します。
マスメディアで多用され、悪いイメージがついてしまった
「ハッカー」
全世界で、電子マネーが使われるようになってきています。みなさんの中にも、決済はすべてカードやスマホで、現金は使わないという人が、徐々に増えてきているのではないでしょうか。わざわざお金をおろしに銀行に行かなくてもいいなんて、とても便利な世の中です。
ただ、恐いのは、自分のパソコンや会社の決済などが、覗かれたり、破壊されたり、不正行為が行なわれることです。私たちは自分がまったく気が付かないうちに、機密情報や個人情報が盗まれている危険性と隣り合わせになりました。
こういうことをする人を、日本では世間一般に「ハッカー」と呼びます。ですが、正式にはこの呼び方は間違いです。
「ハッカー」とは、英語で「コンピューターやインターネットなどについて造詣が深い人」という意味で、本来は、「不正アクセスをする人」のことではありません。
海外などで、「あなたはハッカーだね!」というと、「コンピューターの知識に長けた人」といういい意味で捉えられるのです。パソコンを使って不正をする人は、英語では「クラッカー」、あるいは「セキュリティー・ハッカー」と呼ばれます。
また、「ハッカー」本来の意味が転じて、「不正アクセスをする人」という使われ方が浸透してきた今日の海外では、意味を区別するために、本来の意味の「ハッカー」を「ホワイトハッカー」、犯罪者という意味の「ハッカー」を「ブラックハッカー」と呼ぶこともあります。
海外に行って、「クラッカー」のことを「ハッカー」と言っていると、不正アクセスする人のことを褒めているように誤解されるかもしれませんので、要注意です。