ちょっとしたことを確認したいときに、「つかぬことをお伺いしますが…」という日本語を使っていませんか? 実は「つかぬこと」を「つまらないこと」という意味で使うのは、日本語として正しくありません。今回は、そんな「ちょっと注意したい日本語」を正しい事例と共に解説します。
「つかぬことをお伺いしますが」は「つまらないことを聞きますが」という意味ではない…!正しい使い方は?【間違いやすい日本語】
「つかぬこと」は「つまらないこと」という意味ではない
つかぬことを伺いますが…×
恐れ入りますが…〇
「つかぬこと」という言葉は、最近「つまらないこと」という意味で使われるようになってきました。じつは、「つかぬ」と「つまらない」は、意味としてまったく違います。
「つかぬこと」は、漢字で「付かぬこと」と書きます。つまり、話題になっている話とは、「まったく関係のないこと」「付随しないこと」という意味です。
これに対して「つまらないこと」は、「取るに足りないこと」「おもしろくないこと」「馬鹿げたこと」「不必要なこと」を意味します。
二つの言葉、似てはいても意味がちょっと違います。「つかぬことを伺いますが」を使う場合には、相手との話の流れがあることが前提になるので、いきなり話しかけるときに使うのは誤りなのです。
見知らぬ人に道を尋ねる場面など、人に突然何かを質問するときには、相手のことを考えて、「恐れ入りますが…」と声を掛けるようにしてみてはいかがでしょうか。
山口 謠司
大東文化大学文学部中国文学科教授