フライトアテンダントといえば、頭がよく見た目もいい、選ばれし者だけがなれる“憧れの職業”というのが、多くの日本人がもつイメージではないでしょうか。しかし海外に目を向けると、フライトアテンダントに必要とされる資質や職業に対する印象について、日本とは異なる点もあるようです。本記事では『国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は“自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、著者のRyucrew氏がCAの実情について解説します。
日本では「憧れの職業」のフライトアテンダントだが、北米では…
フライトアテンダントというと、きれいな人が多く、言葉使いや所作も美しくて、誰もがなれるものではないというイメージが一部の方にはあるかもしれません。
私自身、幼い頃に見たフライトアテンダントの姿に憧れを抱きましたし、私見ですが特にアジア系の航空会社は、「フライトアテンダントたるもの、こうでなければならない」といった社風や伝統があるのか、清潔感を含めた見た目を重視するところも多いかと思います。
でも、飛行機は移動手段のひとつにすぎません。長い距離を短時間で移動するために飛行機に乗るのであって、フライトアテンダントのサービスを受けることが目的ではないはずです。「よりよいサービスを受けられたほうがええやん」という方もいるかもしれませんが、そうだとしても見た目はあまり関係ないかなと私は思います。
私が乗客として日系の飛行機に乗ると、フライトアテンダントの方がとてもかしこまった対応をされるので、ついついこちらまで緊張してしまいます。それよりも友達のおばちゃんみたいな外資系のベテランクルーのほうが、サービスをするときにいい意味で気が抜けていて、私の場合はとても気楽に感じます(これはもちろん個人の感じ方によりますが)。
もちろん、清潔感はあったほうがよいと思いますが、見た目の美しさやスタイルのよさが重要かといわれれば、決してそうではないと感じます。それよりも、コミュニケーションをとるのがうまい人や、何か不安や心配なことがあるときに、安心感を与えてくれる人のほうが絶対にいいはずです。
そもそも北米には、日本やアジアのようなフライトアテンダントのイメージは、おそらくないと思います。ブルーカラーの仕事と認識されることもあり、子どもたちが真っ先に挙げる憧れの職業ではありません。
いろいろな国や都市へ行けるのが楽しいからフライトアテンダントになりたい、という人もいますが、家族との時間を大切にする文化が日本よりも根強い北米では、家を空ける時間が多い仕事を、そこまでやりたいとは思わないのかもしれません。