心理コンサルタントの林恭弘氏によると、周囲から人が離れていく人、いわゆる「嫌われやすい人」は、“イヤーな臭い”がするそうです。配偶者や子どもから愛されない人、部下や後輩から尊敬も信頼も得ることができない上司・先輩の共通点について、林氏の著書『「嫌いな人」のトリセツ 人付き合いがラクになる37の習慣』(総合法令出版)より、詳しくみていきましょう。
その「ひと言」がすべてを変える
「素直でなければ、人間関係はうまくいかない」と述べましたが、“素直”とはいったいどのような気持ちや状態なのでしょうか。まずそのことがわからない人のほうが多いはずです。
例えば、あなたから見てまだ知識・技術とも未熟な後輩がいるとします。彼に仕事を依頼しましたが、案の定あなたが期待をした結果が出ませんでした。彼は同じような内容の仕事を、今までに幾度か経験しているはずです。それなのに、今回もうまくやれなかったわけです。
そのことにイライラしたあなたは、
「何度やったらできるようになるんだ! やる気はあるのか!」
と思わず叫んでしまいます。後輩は黙ってうつむいたままです。あなたに叱られたことにショックを受けているのか、反省しているのか、受け流しているだけなのか、固まったまま動きません。
その様子にあなたはさらにイラ立ち、
「ボーっとするな! わかってんのかよ!」
と声を荒げてしまいました。そのあとは何とも言えない空気が職場に残り、他のメンバーも、あなた自身も嫌な後味を引きずっています。
さて、後輩にイラ立ち、怒りをぶつけてしまったあなたの“素直な気持ち”は何だったのでしょう。
①指導したはずなのに、自分の思うように仕事をしない後輩が憎たらしい。
②少ない人員で成果を上げろ、という上からの指示を果たせないと、自分の評価が下がるかもしれないという不安。
③何度も同じことで指導をする時間的・精神的余裕がないので困る。
④彼が成長しなければ、他のメンバーの負担が減らないのではないかという心配。
⑤良いチームワークで仕事を進め、高い成果を出せる職場にする、という理想に近づかないことに対する焦り。