日本各地にある源泉かけ流し温泉では、お湯にもさまざまな個性があります。手触りや香りを楽しめる、各県の名湯を見ていきましょう。温泉博士であり弁護士である小林裕彦氏の著書『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より、東海~近畿地方の源泉かけ流し温泉について詳しく解説します。
風光明媚な混浴露天風呂に“日本一の素泊まり旅館”まで…〈東海地方〉で出会う、歴史のロマン香る「源泉かけ流し」7選【温泉博士がおすすめ】
最高のヒノキ風呂に感動…「日本一の素泊まり旅館」
5.河津峰温泉 花舞竹の庄【静岡県】
「大正檜風呂」、インパクトあるでしょう。これほど絵になるヒノキ風呂は、なかなかありません。「伊豆石風呂・ヒスイ露天風呂」も見事です。
隣に峰温泉大噴湯公園があり、湯量豊富な源泉をそのまま引いています。
ナトリウム-塩化物泉です。肌に優しい、やわらかい塩化物泉です。豊富にミネラルを含んだ源泉が体を包み込んでくれる感じがします。癖がないというか、浸かっているのが自然な泉質です。
昭和8年に新宿の遊郭を一部移築して建築したそうで、中の造りも凝っています。
素泊まりだけですが、近くに安くて感じの良い居酒屋などがあります。
日本一の素泊まり旅館です。
6.榊原温泉 湯元 榊原舘【三重県】
諸説あるようですが、清少納言が「枕草子」で「湯は七栗の湯、有馬の湯、玉造の湯」とたたえた七栗の湯に由来する、歴史のある温泉地です。
アルカリ性単純泉です。源泉の温度は31度くらいで、浴槽ではもっとぬるく感じます。このぬるさが妙に心地よい。浸かると、体が膜に包まれるような感覚です。微かに泡も付着します。
日帰りの方が多く入っているので、夕方くらいになるとやや源泉の鮮度が落ちている気がします。朝イチの源泉風呂に入ると、ヌルヌルつるつるの源泉に浸かることができます。浸かる人数が多いと、源泉の質は落ちることがよく分かります。
7.湯の山温泉 グリーンホテル【三重県】
アルカリ性単純泉です。大きなホテルですが、きちんと源泉がかけ流されています。源泉は少し緑色がかったやわらかい泉質で、つるつる感とヌルヌル感もかなりあります。鉱物臭も実に芳しいです。
2本の源泉を、源泉風呂と露天風呂にうまく使っています。42.5度の適温の源泉が毎分500リットルも湧出するので、惜しみなく源泉を使えることになります。大型ホテルは浴槽が大きくなりがちなので、源泉の湯量が少ないと循環風呂になったり、かけ流しといって加水加温になったりします。
三重県は少し温泉力が弱い感じがしますが、決してそのようなことはありません。
小林 裕彦
小林裕彦法律事務所
代表弁護士