夫婦が別れるシチュエーションは離婚、もしくは死別の2つでしょう。もし熟年夫婦が離婚を検討する際、恐ろしいことですが、現実的な問題として「死別」のケースを考えてみると、意外な事実がわかるかもしれません。本記事では丸山さん(仮名)の事例とともに、行政書士の露木幸彦氏が熟年夫婦の離婚と死別を比較、検討していきます。
年収1,200万円の71歳夫と別居18年…「離婚」より「死別」を待つ“69歳・熟年妻”の恐ろしくも賢い決断【行政書士が解説】
離婚を切り出すのは早いほうがいい
さらに60歳以上の年代はまだ離婚に対して偏見が残っています。親戚、近所、友人から「ご主人と別れたの?」と冷たい目線を一身に浴び続けます。このように精神的、肉体的、そして時間的な負担が伴います。
一方、死別の場合はどうでしょうか? 夫はすでに亡くなっているので、やり取りをする必要はありません。夫が亡くなり、未亡人になることで世間体を損ねることはありません。つまり、死別は離婚と比べて、あらゆる面で圧倒的に楽なのです。
妻がそのことに気付いた場合、離婚に応じなくなります。傷つき、悩み、苦しんで……。無理をして離婚するより、「夫が死ぬまで待てばいい」と。
このように考えると離婚の覚悟が決まっているのなら、離婚を切り出すのは早ければ早いほうがいいのは言うまでもありません。妻が死別という選択肢を見つける前に。
残念ながら、孝さんは完全に出遅れたといえるでしょう。
露木 幸彦
露木行政書士事務所