〈対策2〉銀行の「代理人」サービスを活用する

→取り扱っている金融機関が限られる

認知症や病気や入院、介護施設への入居などにより本人が銀行へ行けなくなった場合に備え、一部の金融機関では、「代理人」を指名できるサービスを用意しています。預金者本人が元気なうちに代理人を登録しておくことで、本人が銀行へ行くことができなくなった際に、代理人が出金などができるサービスです。代理人を指定後も、本人による取引も可能です。

代理人の登録には、預金者本人による手続きが必要です。指名される代理人の来店が必要かどうかは、金融機関によって異なります。また、代理人として指名できるのは、「2親等以内の親族」など、金融機関によってそれぞれ指定があるため、該当の金融機関に問い合わせが必要です。代理人が行える取引は、普通預金の入出金、定期預金の入出金など、こちらも金融機関によります。あらかじめ確認しておきましょう。

「代理人」サービスのメリットは、利用料などの手数料が基本的にかからないところ。認知症など預金が引き出せない事態に、手軽に備えることができます。ネックとなるのは、導入している金融機関がまだ限られるところです。

金融機関によっては、定期預金を信託に切り替えられる特約を付けておくことで、介護や認知症が心配になった場合に、本人またはあらかじめ指定しておいた代理人が、定期預金を信託に切り替えられる商品を用意しています。

信託に切り替える前は、定期預金として自由に引き出しや預け入れが可能で、生活費やレジャー費など制限なく利用できます。信託に切り替え後は、このあと〈対策4〉で紹介する金融機関の信託商品と同じように、使用用途は医療費や介護費などに限られ、これらの費用の請求書や領収書を銀行が確認することで、お金を引き出すことができます。資産が医療費や介護費などの目的以外に使われることがなく、安心して管理できます。

このように、金融機関によって独自のサービスもありますので、まずは自分が利用している金融機関が「代理人」の指定に対応しているかどうか確認してみましょう。