高齢の「おひとりさま」が自宅を片づけようとする際、知っておいたほうがいいことがあります。それは、一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事の杉之原冨士子氏によると、「人生を楽しむための片づけ」だそうです。杉之原氏の著書『おひとりさま最後の片づけ やるべきこと・やらなくてもいいこと』より、詳しくみていきましょう。
「人生を楽しむための片づけ」とは何か?
おひとりさまで、最後の片づけを始めようとして「さあ、片づけるぞ! まずは何から捨てよう」と、意気揚々と取りかかろうとされる方もいるかもしれません。
その前にこれから行う「人生を楽しむための片づけ」と「今までの片づけ本で説明されていた片づけ」の違いを知ってもらいたいと思います。
皆さんは「プレシニア」「アクティブシニア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この言葉は国土交通省の資料(「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(平成31〈2019〉年3月28日公表」)の中で用いられた言葉で、プレシニア(50~64歳)、アクティブシニア(65~74歳)と記載されています。
今50歳の方が「プレシニア」の枠に入るなんて! とショックを受けるかもしれません。また、お孫さんのいる60歳以上の実に65%以上が「高齢者ではない」と思っており、「人生を楽しむための片づけ」、つまり老後を楽しむための片づけと言ってもピンとこないと思います。
けれども、これからの片づけは高齢期に入る前に意識することと、準備することがとても重要なのです。
住まいは人が生きていくための基盤です。幸せになるための条件です。日々買い物に行き、食事をつくり、掃除をする。普通の日常生活を送ることのできる暮らしの中で、夢や希望は生まれてきます。それは、住まいが快適な状態であるからこそできることなのです。
高齢期の住まいは安心・安全で快適な部屋であることがベースになります。そうでないと、家の中でケガをして入院したり、ゴミ屋敷化して最終的に空き家になったりという最悪のケースにつながるのです。だからこそ「プレシニア」の段階での快適な暮らしを意識した片づけが「シニア」世代の、豊かで自分らしい暮らしにつながるのです。
重要なのは、何も置かない殺風景な部屋にすることではありません。
シニア世代を見据えつつ、本当にやりたかったことが今こそできる、ポジティブな部屋にしていきましょう。
まずは「人生を楽しむための片づけ」のポイントを6つにまとめてみました。