今年に入って新NISAがスタートし、投資信託や資産運用に関心を持つ人が増えているようです。しかし、証券口座を開設したものの、実際に運用を開始できていない人が約4割もいる現状があり、投資を「難しい」「怖い」と考えている人が一定数いるのも、また事実かもしれません。そこで今回は、初心者が投資を始めるうえで大切な心得を、CFPであり、「グローバル・ファイナンシャル・スクール」の校長を勤める市川雄一郎氏が解説します。
〈万人向けの商品〉〈金融機関への相談〉は要注意…投資初心者が「不本意な投資」をしないために頭に入れておきたい“鉄の掟”【CFPが助言】
「コアサテライト運用」のすすめ
ここからは、おすすめの手法を紹介していきます。
「コアサテライト運用」という手法は、7割~10割を守りの運用(コア)にして、攻めの運用(サテライト)は、多くても3割に抑えるというものです。これは金融機関の考え方で、向いている人もいるかと思いますが、全員ではないでしょう。
長期的な守りの運用には、株式型のインデックスファンドを活用し、攻めは個別株での運用が理想です。守りと攻めの割合は、人によっていろいろな考え方がありますが、基本的には、ベースを株式型のインデックスファンドにして、初心者であれば、7割くらいを積み立ててもよいと考えています。
インデックスとは「指数」のことで、株式型なら、アメリカのいわゆる「ニューヨーク・ダウ」がこれに該当します。日本であれば、「日経平均株価」いわゆる「日経225」が人気です。他にも、東証株価指数なんかがあります。
インデックスがよい理由として、10年以上の長期投資を想定した場合、年利10%くらいでの運用が決して不可能ではない、ということが挙げられます。長期的に運用することを考えると、「リターン」がきちんとあるものを選択していくべきだと考えます。
さらに詳しく見ていくと、「オールカントリー」と呼ばれる全世界株式型というものがあります。これは世界中の株式に投資をしているというものです。とはいえ、アメリカの株式が上場している数が最も多く、市場も大きいので、アメリカの比率が高くなります。オールカントリーに投資をするにしても、アメリカの株式市場が悪くなったときに備えて、他の投資先も組み合わせておいたほうがよいでしょう。
私は基本的に、アメリカ中心の投資信託を買っておけばいいと考えています。具体的には、「全米株式型」や「S&P500」などが人気です。ニューヨークダウは、GoogleやApple、Amazonをはじめとする巨大企業の30銘柄で構成されており、日本の約3,900社をはるかに上回る時価総額であるのが魅力です。
ナスダック総合指数は、新興企業やハイテク企業の占める比率が非常に高く、IT化がどんどん進んでいる今の世の中において、こういったところで上場している企業は成長性が高いといえます。
「ナスダック100」というのは、ナスダック総合指数のなかで選りすぐりの100社ということになるので、長期投資を考えるのであれば、1つ組み入れておくのもいいかもしれません。
「日経平均株価」「東証株価指数」は日本ということになりますが、暗黒時代があったためにパフォーマンスが下がっています。
インドの「SENSEX(センセックス)」ですが、人口が多く、経済成長も速いインドは、いずれGDP第3位に上り詰めてくることになりそうなので、期待値は高いです。新興国なので、政治不安があり、乱高下しやすいことを考えると、1割~2割程度に抑えておくのがいいでしょう。
全世界株式に投資するというのももちろんありだと思いますが、全世界株式一択だけではなく、いくつか組み合わせるのがよいと考えます。
インデックス投資で積み立てをする際、NISAで運用すると、上限はあるものの、運用益は「非課税」になります。長期になればなるほど有利なので、まずは、NISAでの運用を中心にして投資をすることをおすすめします。
とはいえ、NISAのことがまったくわかっていないということであれば、NISAを活用してはいけません。知らないものに投資をしてはいけないし、知らない物を活用してはいけません。まずは、NISAのことをしっかり理解するようにしましょう。