現代の日本において、年金収入だけで暮らすことは簡単ではありません。そのため、再雇用やパート・アルバイトなどで「年金+α」の収入を確保することが大切です。夫を亡くして経済的な不安を抱いている専業主婦Aさんの事例から、老後の収入を確保するための方法と心構えをみていきましょう。石川亜希子AFPが解説します。
専業主婦が老後に苦労するのは“自業自得”ですか?…年金月11万円でつつましく生きる69歳女性の「静かな怒り」【FPの助言】
Aさんの「経済的な不安」を解消するための具体策
まずは生活を整える
モヤモヤが晴れたAさんでしたが、それでも「経済的な不安」は残ります。
「毎月の収入をもう少し増やしたいんだけど……私にもなにかできることはあるのかしら?」
金融機関で働き、ファイナンシャルプランナーの資格ももっているBさんは次のようにアドバイスします。
Bさん「そうね、働くのもいいけれど、その前にまずは身のまわりを整理整頓したらどう? ひとり暮らしなんだから、開けてもいない“いただきものの食器”なんていらないでしょう。ものを減らすと生活が整うし、いまの時代はフリマアプリよ! お小遣い稼ぎにもなるし、まずは身軽にならないと」
ア、アプリ!? 聞いたことはあるけれど……Aさんは、年を重ねても新しいことを知っているBさんに驚くばかりです。そしてBさんいわく、家をスッキリさせたあとは「自分にあった仕事をみつけること」が大切だといいます。
専業主婦でも「稼ぐ手段」はたくさんある
Bさんがアドバイスしてくれた仕事は3種類でした。
①家事代行、介護スタッフ
今までの主婦としてのスキルを活かせる仕事です。Aさんは社交的な性格なので、人とのコミュニケーションが必要という意味でも向いているとBさんは言ってくれました。
②マンションなどの管理人、清掃業
朝早くから午前中までなど、時間の融通が効く場合も多く、体力的な負担も大きくありません。
③スキルを生かした在宅ワーク
書道の腕前には自信があるAさん。友人は「代筆を請け負う」という仕事があることも教えてくれました。企業から直接請け負う方法もありますし、時給は下がってしまいますが、地域のシルバー人材センターに登録し、そこから請け負うことも可能です。また、シルバー人材センターなら、ほかにもさまざまな仕事を請け負うことができますし、会員同士の交流もあります。
自分のペースで働くこと、夢中になれる趣味を楽しむこと、友人とおしゃべりすること……人生を楽しむヒントはあちこちに転がっています。“顔のみえない誰かの意見”は気にせず、自分にあった豊かな老後を探しましょう。
石川 亜希子
AFP