会社の上司と食事に行ってメニューの確認をする際、「どちらにいたしますか?」と「どちらになさいますか?」、あなたはどちらの言葉で伝えるでしょうか。同じことだろうと思うかもしれませんが、実は片方は適切な日本語ではありません。今回は、多くの人が日常的に迷いなく使っている日本語の間違いをご紹介します。ぜひこの機会にチェックしてみてください。
【日本語の常識】目上の人にメニューを確認するときの言い回し、正しいのは→「どちらにいたしますか?」or「どちらになさいますか?」
会食で目上の人のメニューを確認するとき
どちらにいたしますか?…×
どちらになさいますか?…〇
たとえば、会社の上司と食事に行ってメニュー表を渡しながら、「どれを選びますか?」と上司に聞く場合、なんと言うのがいいのでしょうか? 友だち同士であれば「どれにする?」と言うところでしょうが、上司に対しては、そのように言うわけにはいきません。
こんなときに「どちらにいたしますか?」という人がいます。しかし、この言い方は誤りです。「いたす」は、「する」の謙譲語です。つまり、自分がへりくだって言うときに使う言葉です。なので、「私はこちらにいたします」「こちらを選ぶことにいたします」など、自分の行為に対して使うのが適切です。
そのため、上司に「どれにする?」という意味で、質問をしたいときには、「どちらになさいますか?」と聞くのがいいでしょう。「なさる」は、「する」の尊敬語です。さらに、「どれをお選びになりますか?」というのがもっとも丁寧な言い方でしょう。
山口 謠司
大東文化大学文学部中国文学科教授