「私たちの暮らしの中には、快適さを妨げているいろんな泥棒がいる」…こう言われたら、思わず驚いてしまうのではないでしょうか。実は、それらの泥棒は気づかないうちに、お金や住みやすさ、楽しさ、良好な家族関係まで奪っていくというのです。本記事では、『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)の著者で片付けのプロである下村志保美氏が、「時間・場所・手間泥棒」の退治法について解説します。
その「手間」、クセになっていませんか?
意外と気づきにくいのが3つ目の「手間泥棒」です。これは持ちすぎたものの管理や整理が、ご自身の行動や習慣に馴染みすぎていて、知らぬ間に時間やお金を奪われているパターンです。
私がお客様宅に伺うとまず気づくのは、フタつき収納ケースや開けにくい引き出し、前に置いてあるものをどかさないと開かない扉など、お客様にとっては慣れきっていて気づかないひと手間ふた手間があることです。
クローゼットもそうです。クリーニングのビニールがかかった衣類がたくさんあり、衣替えの季節は毎年出費がかさむとのこと。シーズン中1、2回しか着ていなくても、しまう前にはお手入れが必要です。
本当にお気に入りの服を3~4着だけ持っている人と、「いつも同じ服を着ていると思われると恥ずかしいから」、「古くなったけどまだ着られるから」などの理由で所有し続けている人とでは、クリーニングの代金も持っていく手間も、大きく変わってきます。
家で手洗いすればお金はかからないと思うかもしれませんが、その時間の労働力が発生しているので、けっしてタダではありません。
手間泥棒とお別れするためには、“気づき”が大切です。例えば我が家では猫を飼っていますが、以前はキャットフードを購入した時の袋のまま使っていました。これを100円ショップで売っていたカップつきのお米ストッカーに変えたところ、出し入れも、エサの計量もうんとラクになりました。
手間は、時間や場所のようにすぐにわかるロスではなく、習慣化されているので、なかなか自分で気づくことは難しいものですが、毎日の暮らしのなかに実は見つけるヒントがあります。それは何かやろうとして「めんどうだな」と感じた時。その小さな「めんどくさい」という気づきが、手間泥棒をやっつけるチャンスです。
生活を共にしている家族以外からのアドバイスをもらうことも効果的です。「このお鍋、重くて使いづらいのでは?」などと言ってもらえるといいですね。手間に気づく大きなヒントになります。
下村 志保美
「PRECIOUSDAYS」主宰