「私たちの暮らしの中には、快適さを妨げているいろんな泥棒がいる」…こう言われたら、思わず驚いてしまうのではないでしょうか。実は、それらの泥棒は気づかないうちに、お金や住みやすさ、楽しさ、良好な家族関係まで奪っていくというのです。本記事では、『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)の著者で片付けのプロである下村志保美氏が、「時間・場所・手間泥棒」の退治法について解説します。
一番お金がかかるのは「場所代」だと心得よ!
次の「場所泥棒」は、必要のないものを置いておくスペースのことです。この場合、無自覚にやりがちなのが「クローゼットや押し入れの間のすき間にものを押し込んでいる」パターン。冷蔵庫などでも多いですね。
私の経験上、片付けをしたい方というのは几帳面で真面目な性格の人が多く、空いているスペース(デッドスペースと呼ばれる)があると、「何かに使いたい」、「もったいない」と思いがちなタイプが多いです。
きれいに整頓された場所にすき間を見つけると、収納系の便利グッズを買い足して、さらにものを増やしていく……。思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。一見すると「ちゃんと片付けた」ように感じられ、片付けた満足感も得られます。
だけどそこに詰め込んだものは、そもそもは持たなくてもいいものだったかもしれないし、それがあるがために他のものが取り出しにくくなったり、通気が悪くなりカビの原因になったりというデメリットも生まれます。
現代の暮らしのなかで、一番お金がかかるのは場所代です。田舎でよほど大きな家に住んでいて部屋が余って困っているんです、というケースは例外として、多くの家庭は家のスペースに限りがあります。
ここで、必要ではないけれども、なんとなく部屋を埋めつくしているもののコストがどれぐらいになるのか考えてみましょう。例えばあなたが70平米・4,000万円で購入した3LDKのマンションに住んでいるとします。そのうち6畳分の一部屋を「使っていないもの、整理しきれていないもの」の置き場所に使っているとしたら……?
4,000万円(スペースの総価格)÷70㎡(総スペース)=約57万円(広さに対する価格)
57万円×9・72㎡(6畳分のスペース)=約555万円
つまり555万円分を、要らないものに費やしていることになります。今、日本では全国的に住宅の価格が上がり続けていますから、都心部に住んでいる方は、スペースあたりの金額はもっと高くなっているはず。せっかく購入した貴重な空間や資産が、要らないもので目減りしている現実が、おわかりいただけたでしょうか。
必要なものを見極め、スペースを空けることが、「場所泥棒」を追い出すコツだと心得てください。