身の周りにあふれているさまざまな「デザイン」。普段何気なく見ているものも、“視点”を身につけることで「世界の見え方」が変わります。デザイン研究所による著書『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)より、日常が面白くなる「デザイン」の見方について、例題を交えて見ていきましょう。
「木を見て森を見ず」という言葉を知っていますか?
『広辞苑』によると「一部分や細部に気を取られ全体が見えていない」という意味で使われます。しかし、「見る力」「言語化する力」を習得するには細部を見る力も、全体を見る力も求められます。
つまり、必要なのは「木を見て森を見る」ことです。さらにデザインを見る上では、よりミクロな葉を見る目を持ち合わせた、「葉を見て木を見て森を見て」の力が重要になります。
葉を見る
抽象度:低 情報量:少 KEYWORD:What How
葉を見るとは「何がどのようになっているのか」という、具体的な要素を見ることを指します。例えば、「文章の一部が緑色に変わっている」など、このような気づきがデザインを見る最初の一歩となります。また文字が太字になっている、丸めのフォントを使っているなど、小さな範囲の要素をどんどん発見することを指します。
木を見る
抽象度:中 情報量:中 KEYWORD:Why
木を見るとは「なぜそうなのか」を考えながら見ることです。例えば、「文章の一部の色が緑色に変わっているのは、そこを強調したいから」などです。なぜを考えてみることで、葉を見るより深掘りして考えることができるようになります。なぜというデザインの根幹(根拠)に迫っているため、「木を見る」と表現しています。
森を見る
抽象度:高 情報量:多 KEYWORD:When Where Who
森を見るとは対象物を観察し、「どんな時(シーンなど)、どんな場所(媒体など)、どんな人物(ターゲットなど)」などを分析し法則化することです。例えば、「文章の中で強調したいところがある時、その箇所の文字色を変える」などです。全体を俯瞰し、多くの対象に当てはめられることから「森を見る」と表現しています。