【惨めな老後】年金の繰下げ受給で大損!少ない年金がさらに減る「年金制度の罠」…繰下げ受給で損をしない“とっておきの裏ワザ”

登場人物
ゆめこさん……大正時代からタイムスリップしてきた26歳女性。なぜか、現代社会にめちゃくちゃ詳しい。全文太字部分

ワイ(以下、ワ)……ゆめこさんの白い飼い犬。お菓子好き。ミーハー。
コバヤシ  サトシ(以下、サト)……60歳、大卒大企業のサラリーマン、8歳年下で専業主婦の妻がいる。

サト:65歳から俺がもらえる年金は月に22万円位か……今の給料は手取りで月52万円、月収入が半分以下になってしまうとは何とも世知辛いな……。うちはまだ住宅ローンが600万円残っているし、定年後はかみさんとのんびり旅行にでもと思っていたが……そんな余裕はなさそうだ。

妻は8歳年下の専業主婦。俺が65歳を迎えても妻はまだ年金がもらえないから、65歳からの8年間は私の年金だけで暮らさなきゃならない。貯金と退職金はあるけど、住宅ローンの完済に回したらすぐに使い果たしそうだし...う~む、どうしたものか。

ワイ:ゆめこさん、年金を増やす方法はないの?

ないこともないです。年金の受け取り開始年齢を70歳からにすれば、サトシさんは年金月額の22万円が8.4%アップし、年金月238,480円をもらうことができます。

サト:月に18,000円以上増えるなんて、いいな! いや…でもちょっと待てよ、日本人男性の平均寿命は81歳。70歳から10年間くらいしか年金がもらえないんじゃ、むしろ損じゃないの?

そう言うと思いました。じゃあ、こんなことができたらどうですか?

65歳から70までもらっていなかった5年分の年金は、8.4%増やして一括でお支払いします! 1,428万円ですよ。さらに!月228,480円は一生払います!

ワイ:おお!すごい!

サト:あのねえ……そんなうまい話があるわけないじゃない。

実はあるんです。それが...年金の繰下げ受給という制度なんです。

サト:すごい! こんないい話はないよ! 投資をしてもこんなに増えないかもしれないし、損をすることだってある。この制度を利用すれば、年金を確実に増やせるじゃないか。やらない手はないな! あれ? じゃあなんで皆やらないんだ?

うまい話にはウラがあります

サト:ええっ……やっぱりか。

年金を繰り下げして増やしても、もしかしたら損をするかもしれません。詳しく見てみましょう。

繰下げ受給の基本

繰下げ受給
 

現在、老齢年金は65歳から受け取れる制度になっています。

これを66歳から75歳まで遅らせて受け取ることをいいます。

繰下げ受給は、受取年齢を遅らせるほど受取額が増えるのが特徴です。たとえば、受給年齢を3年遅らせて68歳0ヵ月から年金を受け取ると、年金は25.2%増えます。繰下げ期間の最長である75歳から受け取ると、なんと84%も増えるのです。

ワ:わお! そんなに!?

何歳でもらうといくら増えるのかは、日本年金機構のホームページに掲載されていますので、確認しましょう。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html
日本年金機構webサイト「年金の繰下げ受給」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html

サト:月額22万円が75歳まで繰り下げると、404,800円! 年間約486万円と現役並みの年収になるね。年金を寝かせるだけで確実に84%増えるなんて夢のようだよ

サトシさんは、もし年金が増えたらどんなことがしたいですか?

サト:そうだな…豪勢な介護付き有料老人ホームに入りたいな! 入居一時金はかかるものの、毎月40万円も年金をもらえるなら、月額利用料金に充てることができるよ。ロビーではピアノ演奏があって、温泉施設やレストランもあるようなラグジュアリーな老人ホームがあるみたいだし、そこで暮らすこともできそうだ。

夢がいっぱいですね。

ワ:胸もいっぱいだね~

年金の受け取り年齢を遅らせるだけで年金額が確実に増えるのですから、これはすごい! と誰でも最初は思います。長生きするほど得をする制度であるため、日本人の平均寿命が延びている現代では魅力的に見えます。

ですが、誰にとってもお得なのか? というと、必ずしもそうではありません。実はあまり知られていない罠があるのです。

ワ:なんと!

繰下げ受給に潜む危険すぎる罠

繰下げ受給には次のような5つの罠が隠されています。

繰下げ受給5つの罠

1:年金の壁(211万円の壁)で手取りが減る
2:加給年金が支給停止になる
3:振替加算が支給停止になる
4:医療費・介護費が高くなる
5: 繰り下げ期間中に死亡すると大損