現代社会では、デジタル技術の進化が私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしています。特に、COVID-19パンデミックは、オンラインでの娯楽の消費と仮想空間での交流への依存を加速させました。小説や物語と言った文学はかつてポピュラーカルチャーでした。しかし現代、紙出版や書店数の減少で、紙の本を手に取る機会が少なくなっているのではないでしょうか?※ そこで今回は、あらゆる娯楽や文化がテクノロジーによってアップデートされていく中、文学や物語とテックの新しい融合についてご紹介します。
「物語を読むのではなく、体験する」VRビジュアルノベルの世界

新時代の文学ゲーム VRビジュアルノベルとは?

VRビジュアルノベルは、伝統的なビジュアルノベルをVR技術で再現したもので、近年注目を集めています。

 

通常のビジュアルノベルがキャラクターの立ち絵とテキストによる物語進行を特徴とするのに対し、VRビジュアルノベルはプレイヤーが物語の世界に直接没入し、キャラクターと対話する形式を取っています。テキストは引き続き表示されますが、キャラクターには動きがあり、等身大でのインタラクション(相互作用)が可能になっています。

 

『東京クロノス』や『ALTDEUS: Beyond Chronos』などのVRビジュアルノベル作品は、キャラクターの滑らかな動きよりも、テキストや音声を通じて物語に没入するスタイルを採用しています。

 

これらの作品では、人気声優や歌手が音声やテーマ音楽に起用されており、臨場感と興奮を提供しています。女性キャラクターとの会話シーンは、まるで実際にそのキャラが隣にいるような感覚を生み出します。

 

『東京クロノス』(MyDearest提供)
『東京クロノス』(MyDearest提供)

 

これらの作品をプレイすると、従来のビジュアルノベルがVRの世界にどのように拡張されたかが分かります。主人公や登場キャラクターの感情や状況によってシーンや音楽が変わったり、ストーリー中には選択肢があったり、それによって物語が分岐していきます。

 

再プレイすると異なる展開になることもあり、プレイヤーを物語の世界に深く引き込みます。

 

『ALTDEUS: Beyond Chronos』(MyDearest提供)
『ALTDEUS: Beyond Chronos』(MyDearest提供)

 

オープニングは伝統的なビジュアルノベルスタイルで始まりますが、VR空間への移行が特徴的な演出です。

 

この演出は、二次元から三次元へのビジュアルノベルの進化を象徴しており、バーチャル空間への没入時代の到来を感じさせます。この体験は実際にVRで体験することでしか完全には理解できないため、ぜひ一度試してみることをお勧めします。

 

また「二次元の中に入る!」という夢を追いかけて、開発されたのが『狼と香辛料VR』。これは人気アニメ『狼と香辛料』の世界を体験できるVRゲームです。アニメの世界観をそのまま感じられたり、アニメに登場するキャラクターとのインタラクションが発生したり、まるで二次元で見ていたアニメの世界に入ったような感覚になります。