※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
ペット業界のテクノロジー利用
「ペットテック」という言葉をご存じでしょうか。既存の業界に最先端テクノロジーを組み合わせる「~Tech(~テック)」という言葉の1つで、ペット(Pet)と技術(Technology)を合わせた造語です。最先端の技術を用いて、大切な家族の一員であるペットの世話や健康管理をサポートしてくれる商品やサービスのことを指します。
単なる撮影機能だけじゃない…留守中の見守りカメラが進化
ペットテックの代表格として挙げられるのが、遠隔での見守りカメラ。核家族化が進み、共働き夫婦や1人暮らしのために日中、家を空けることを余儀なくされる飼い主さんも多い昨今、導入する家庭も増えています。
外出先からリアルタイムの姿を見守れるという基本機能だけでなく、通話機能や録画機能がついている機器も少なくありません。
防犯カメラメーカーの塚本無線が発売している「ごはんだすよ2」では、自動給餌器とカメラが一体化。カメラはお皿のなかもしっかりと映すことができるので、留守中にもちゃんとご飯を食べたかどうかを確認できます。言語でのコミュニケーションが難しいワンちゃん、ネコちゃんにとっては、食欲低下なども重要なサイン。遠くからでも異変に気づくことができるのは大きなメリットです。
犬とも猫とも…コミュニケーションの難しさを解決してくれるアイテム
人間同士のように言語でのやりとりができないのがペットの魅力でもあり、一緒に生活する難しさでもあります。ベテランの飼い主さんなら愛犬、愛猫のご機嫌や体調が手に取るようにわかるかもしれません。しかし、初めてペットを飼う人にとってはなかなか難しいもの。なかには感情表現があまり多くないペットもいるでしょう。
そんな飼い主さんの心強い味方が、Langualessの「イヌパシー」です。この商品は、首輪型、ハーネス型のデバイスで愛犬の心拍数をチェック。外部の音をシャットアウトし、体内の音にのみ反応する「体内音マイク」と、音声からノイズを除去して心音を検出する「心音検出システム」、さらに心拍リズムと犬の情動を関連づけて分析する「解析アルゴリズム」によって、犬の心理状態を解析します。
実際には、愛犬の心の状態を「リラックス」「ドキドキ」「ハッピー」「興味」「ストレス」の5種類に分類。計測された感情は、デバイスが対応する色に光ることでリアルタイムに把握することが可能です。実際に導入してみて、これまで知らなかった愛犬の好きなものを発見できたり、反対に苦手なものに気づけたりといった飼い主さんもいるよう。
感情豊かといわれる犬でも、なかなか正確なコミュニケーションは難しいもの。警戒心が高いことで知られ、「弱っていることを隠す」ともいわれる猫とのコミュニケーションはなおさら難易度が上がります。そんな猫たちの体調管理を助けてくれるのが、RABOの「Catlog」というデバイスです。
Catlogは人間の使用するスマートウォッチのような首輪で、食欲や水分補給、睡眠といった愛猫の生活パターンを行動記録として見ることが可能。食事摂取量と消費カロリーのバランスから最適な食事量を導いてくれるほか、活動状態の変化や食欲の変化から不調の兆候を検出してくれるため、愛猫の体調不良を早期に発見できます。
同社では「Catlog Board 2」という板状のデバイスも販売。こちらは、普段使っている猫用トイレの下に敷いて使用するデバイスです。愛猫の体重やトイレ滞在時間、排泄量を計測し、その情報から排泄トラブルや体重減少を検知してくれる優れもの。複数のネコを見分けることも可能なため、個別に首輪などをつける必要はありません。多頭飼いや首輪を嫌がる子の家庭にもピッタリですね。
こうしたデバイスで運動不足が判明した愛猫の活動量を増やしたいときにも、最新テクノロジーが有効です。最近では猫の遊びをサポートするデバイスも多く、振動や音を出して猫の興味を惹く自動の猫じゃらしや、不規則な動きで猫を翻弄する電動ボールなどの「スマートトイ」のバリエーションも増えてきています。