「家は持ち家か賃貸か」「貯金か株か」「年金繰り上げか繰り下げか」……『ただの人にならない「定年の壁」のこわしかた』(マガジンハウス)著者で公認会計士の田中靖浩氏は、こうした“正解のないお金の悩み”に対して適切な判断を下せるよう、定年後にオススメしたいことが2つあるといいます。それはいったいなんなのか、詳しくみていきましょう。
「貯金か株か」「年金は繰り上げか繰り下げか」老後迷わないために…定年後にチャレンジしたい〈2つのこと〉
金融リテラシー醸成のため…定年後にはじめたい2つのこと
①株式投資
まずひとつが株式投資を行うこと。ただ、誤解しないでください。それは蓄財のためではありません。金融資本市場を「勉強」するためです。
株価はどう動くのか、業績だけでなく他の要因でも動くのか? 株価と金利や為替との関係は? 身銭を切って株を買えばたとえそれが少額でも勉強する気になります。この「勉強」は若い人から年配者まで幅広くオススメします。
②確定申告
そしてもうひとつオススメしたいのが確定申告を自分で行うことです。
定年後フリーランスになって収入が入った方は、めんどくさがってプロに頼まず、一度は自分で確定申告を行ってください。そうすれば自分の収入と支出がどう計算され、税金支払いにつながるのか、それが勉強できます。
株式投資は経済を学ぶマクロ的な勉強だとするなら、確定申告は自分の収支を通じて会計と財政を学ぶミクロ的な勉強です。
この2つを経験すれば経済や会計の勉強ができ「金融リテラシー」の基礎が身に付きます。勉強になってお金の管理にも役立つので一石二鳥。反対に株式投資に手を出さず、税金を会社に計算してもらっているサラリーマンは知らずしらずのうちに「金融リテラシー」が低くなってしまうのです。
田中 靖浩
作家/公認会計士