オープンオフィスは集中しづらい

とはいえ、パンデミックが発生する前から多くのオフィスは、5歳の子どもがいるワンルームと同じくらい気が散る環境だった。シリコンバレー以外でも一般的になっているオープンオフィス(パーティションを設けず、ひとつの空間にデスクが並ぶオフィス)は、開放的なコミュニケーションを促進し、作業の効率を向上させると言われている。サバルが『四角い間仕切り』で説明するように、「部署や社内の等級が異なる2人の社員が偶然出会い、突発的な話し合いによる摩擦によって燃え上がるようなイノベーションが起きる」というのだ。

経営陣はこうした「給湯室マジック」をアピールするのが好きだが、同じ空間で働くことが創造性や協力のために必要不可欠であることと示す証拠はない。むしろ、オープンオフィスでは生産性と対面でのコミュニケーションは減少することを示す研究もある。

オープンオフィスで働く社員はより長い時間働くプレッシャーを感じ、エンゲージメントが低下するのだ。「オープンオフィスはコスト削減の方法としても、オフィス内の全員が特定の瞬間に他の人たちが何をしているかを監視する方法としても機能する」とアン・ヘレン・ピーターソンは説明している。「かつて標準だったプライベートなオフィスとは異なり、ほとんどの人はオープンオフィスでは仕事に集中しづらいと感じている。同僚に作業を中断されることが多いし、ヘッドフォンをすれば周りからは冷たく非協力的だと思われてしまうのです」