EVという「カルチャー」

イタリアのフィアット500の先代は1957年に登場し、50周年を記念して2007年に再登場した。外観はニュービートルやミニと同様、先代のイメージをうまく踏襲しながら、エンジンや電装は現代的な装備で固められた。

新しいフィアット500は本拠地トリノで組み立てられた「ありがたい」レトロではなく、ポーランドとメキシコの工場から出荷されるが、トリノの工場跡はレストアされ、街全体が歴史遺産を中心に据えながら再生されている。

21年には「カーザ・チンクエチェント(フィアット500の家)」が工場跡の再開発地区の一角にオープンし、歴代フィアット500のみならず、エスプレッソマシンやボトルオープナーなど日常生活のなかの様々なイタリアの工業デザインに触れることができる。

フィアットは2020年にEV版の500eを発売したが、車種ごとに特徴が出やすいエンジンと異なり、個性が出しにくい電池とモーターを組み合わせたEVを発売するにあたり、同社は歴史的な積み重ね、「味」やカルチャーを前面に出した。トリノの「カーザ」には当然、フィアット500eが先代500と共に展示されている。


鈴木 均
合同会社未来モビリT研究 代表