「死後離婚」に踏み切ってもよいと判断できる5つのケース

ここまでは涼子さんが夫および夫の家族と離れ、再出発するまでの経緯について見てきましたが、一度、縁を切るともとに戻ることはできないので、万人に勧められる制度ではありません。どのような場合は死後離婚に踏み切ってもよいのでしょうか? その条件をまとめたので参考にしてください。

1.夫の親戚にどう思われてもいいかどうか

姻族関係終了届を提出したことは後日、戸籍を確認するタイミング等で明らかになります。その場合、親戚中で「なにを考えているの? 信じられない!」と陰口を叩かれるでしょうし、もしかすると直接、文句をいわれるかもしれません。そのため、二度と会わないのだから総スカンを食らっても構わないという胆力が求められます。

2.夫が生きているとき、離婚を考えたことがあるかどうか

離婚したのに元妻が元夫の親戚と付き合いを続けているケースを私は聞いたことがありません。なぜなら、離婚を考えた時点で元夫の親戚とは縁を切るつもりだからです。これは離婚の方法が生前から死後になっても同じです。夫と離婚するつもりだったけれど、夫の生前に間に合わなかっただけ。夫と別れる方法が離婚ではなく死別になっただけ。それなら死後離婚を躊躇する理由はありません。

3.親戚のなかに縁を切りたいほど仲が悪い人がいるかどうか

夫と仲が悪いから、夫の親戚とも仲が悪いとは限りません。なぜなら、夫への憎しみを親戚にも転嫁するとは限らないからです。夫が亡くなっても、付き合いを続けたい親戚がいるのなら死後離婚をしないほうがよいでしょう。

4.すでに義両親の介護を始めているかどうか

すでに妻が義両親の介護を担っている最中に夫が亡くなった場合、仮に死後離婚をしたからといって、要介護者を置き去りにし、介護を投げ出し、逃げてくることは難しいです。

5.もし義両親の介護が始まっている場合、ほかに任せられる人や施設があるかどうか

代わりに義両親を介護する人、施設が必要なら、自分で見つけてこなければなりません。たとえば、人なら夫の兄弟姉妹などですが、誰か1人に押し付ける必要はなく、介護施設の併用も視野に入れてよいでしょう。ただし、死後離婚のことを隠したまま頼まなければなりません。

露木 幸彦
露木行政書士事務所