息子からの提案で二世帯住宅に…気づけなかった“落とし穴”

68歳のAさんは元公務員で、3年前に仕事を完全に辞めてから年金生活を送っています。2つ年下の妻Bさんとは非常に仲がよく、近所でも評判です。

真面目で責任感の強いAさんは、現役時代は仕事に専念しており、妻のBさんに苦労をかけていたという思いがありました。Bさんは特に趣味はありませんが、応援しているK-POPグループの“推し活”が生きがい。コロナが落ち着いてからは韓国にも足を運んでいました。

そんなA夫妻には、ひとり息子のCさんがいます。Cさんは2年前に職場で出会った同い年の女性と結婚。翌年には双子を授かり、1LDKの賃貸物件に4人で暮らしていました。

双子の面倒をワンオペで見ていたCさんの妻Dさんの負担は重く、インフレによる生活費の負担も悩みの種。身体的にも経済的にも苦しい状況です。

さらにCさんは仕事が長続きせず、職を転々としており、現在の年収は400万ほど。そのため、双子の学費や自分たちの老後資金のことで不安が募ります。

ある日、DさんがCさんに「お義父さんたちと一緒に生活したら楽になるんじゃないの?」と聞いたことで、Cさんは両親との同居を考えるようになりました。

数ヵ月後、年末年始にA夫妻のもとにC家がやってきました。夕食時、少し緊張した面持ちのCさんが「親父もそろそろ70代になるから心配だし、なにより孫たちと過ごす時間も増やせたらと思ってさ。よかったら、一緒に住もうよ」と切り出しました。

Bさんは可愛い孫たちと暮らせることに歓喜。Aさんも驚きと喜びを隠しながら、「近いうちにこの家のリフォームを考えていたけれど、一緒に住むならいっそのこと、二世帯住宅にするか」と、一緒に住むために実家を建て直すことに。話し合いの結果、Aさんが頭金として1,500万円、Cさんが2,500万円のローンを組みました。

予算と敷地の兼ね合いもあり、玄関と浴室は1つ、キッチンは2つで居住スペースは親子で別々という間取りに。最初は問題なく生活していたA夫妻とC家。しかし、幸せな日常は長く続きませんでした……。